kiliu yoa

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12/8/2023, 5:10:50 PM

あっ、死ぬかもしれない。

肩から横腹まで、斜めに斬られた。

幸い、予想してたより痛くない。

でも、もう無理かもしれない。

相手がおおきく振りかぶった。

『どうか、お気お付けて。ご武運を祈っております。』

凛とした、覚悟を決めた、妻の表情が蘇る。

一瞬の走馬灯。

もう、身体が動かない。

貴女と人生を共に過ごせて、歩めて、本当に幸せだった。

之まで、ありがとう。

そして、約束を果てせなくて、ごめん。














12/7/2023, 11:46:30 AM


最高級品の和紙に文鎮を置き、硯で墨を磨る。

墨汁は便利だが、硯で磨った墨には敵わない。

筆に墨を吸わせ、硯の端で墨を拭う。

一文字、一文字、集中し過ぎないよう意識しながら、文字を書き連ねる。

そして、和多志の名を署名し、筆を置く。

最後に、玉印に朱肉を付け、署名の下に玉印を押す。

之で終わり。

重要書類を書いた後は、どっと疲れる。

之ばかりは、未だに慣れない。

窓から外を見ると、日は沈みかけ、空を朱く染めていた。

『たまには早く帰って、家族と過ごせ。そう云う時間は、無限では無いよ。』

上司に云われた言葉を思い出す。

今日は、早く帰ろう。








12/5/2023, 1:29:25 PM

今夜は空気が澄み、月が美しい。

こういう日は、月見酒がしたくなる。

夜分遅くに仕事が終わり、久々に誰かと呑みたくなった。

「なるほど、それで和多志のところへ訪ねてきたと。」

そして、同僚の男を何の約束無く、夜分遅くに訪ねた。

「はい。酒瓶は、持ってきました。」

「和多志が明日、仕事なのをご存知ですか。」

「はい。たまには、こういうのも悪くないと思いまして。」

男同士、年齢も一つか、二つしか変わらぬ為、

悪びれもなく、図々しく呑みに誘ってみる。

「お断りします。と、言いたいところですが、今日は付き合います。」

「有難うございます。一つ、借しにして下さい。」

「いえ、以前こちらが借しを作ったので、これで帳消しです。」

縁側に二人で座り、杯では無く、湯のみに酒瓶を傾けて酒を注ぐ。

「「乾杯。」」

「やはり、仕事終わりの酒は別格です。」

「……どこの清酒ですか。」

「知人が酒蔵をやっていまして、そこの少し良い酒です。」

「良い酒だ。」

「そうでしょう。知人に伝えときます。」

「今夜の月は、見事なものです。」

「だから、誘ったのです。」

そこからは無言のまま…酒瓶の酒が尽きるまで、月を見ながら呑んだ。

「では、帰ります。」

「清酒、有難うございました。」

「いえ、こちらこそ、呑みに付き合って頂きましたから。」

「では、又。」


灯籠の要らぬほど明るい、良い月夜でした。







12/4/2023, 3:21:01 PM

理想と現実。

どちらも、重要だ。

だが、どちらか偏ると諸刃の剣となる。

我が主君たる、あの方は其の重要性をよく理解されている。

だから、あの方は策を練られる際に理想と現実の割合を重要視する。

そういえば、あの方に忠誠を誓ったのも、

理想と現実のバランスが取れた方だったからだ。

私には、理想像を描くことが出来ない。

だが、現実像を把握することは出来る。

其処をあの方に買われ、側近となった。

あの方の右腕たる、筆頭は理想像を描くことが出来る者だった。

筆頭が理想像を描き、私が現実像を把握し、あの方が調整する。

そして、筆頭の弟子と私の弟子が実行する。

これが私達の最善の進め方であり、やり方だった。















12/2/2023, 3:50:29 PM

n:意味を理解しているのか。

e:嗚呼、勿論。

w:賛成だ。

s:ハハハッ、面白い。私も賛成しよう。

e:盤上一致だな。

n:私は賛同していない。

s:まあ、良いじゃないか。

w:あなたなら、大丈夫だろう。

n:はぁ、分かった。賛同しよう。

e:よし、ならば決まりだ。


『我ら四人の名に誓い、

 いつ如何なる時も、我らは何より民を最優先し、

 己が滅びの道を辿ることに成ろうとも、

 民の自由と平和を守ることを、此処に誓う。
                     N.E.W.S』













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