kiliu yoa

Open App
12/2/2023, 3:50:29 PM

n:意味を理解しているのか。

e:嗚呼、勿論。

w:賛成だ。

s:ハハハッ、面白い。私も賛成しよう。

e:盤上一致だな。

n:私は賛同していない。

s:まあ、良いじゃないか。

w:あなたなら、大丈夫だろう。

n:はぁ、分かった。賛同しよう。

e:よし、ならば決まりだ。


『我ら四人の名に誓い、

 いつ如何なる時も、我らは何より民を最優先し、

 己が滅びの道を辿ることに成ろうとも、

 民の自由と平和を守ることを、此処に誓う。
                     N.E.W.S』













12/1/2023, 3:26:16 PM

たまに、帰りたくなる。

此処より陸路で東へ進み、海を渡った先にある、

極東と呼ばれる、私の故郷に帰りたくなる。

今、この大陸の国は他国に侵攻している。

侵攻は周辺の国々を滅ぼし、飲み込むまで続く。

国々を完全に飲み込み、安定するまでは帰れない。

其れが達せられるのは、最低でも十五年後の事だろう。

其れまでは、帰れない。

この侵攻は、永き戦乱の世を終わらせる為のものだ。

幸い、この国の大王は人の痛みを知る人だ。

だからこそ、この永きの戦乱の世を終わらせようとして居られる。

私は、この国に恩がある。

その恩を返す為に…私は此処で生きている。

あと、何万人の人々が犠牲になるのだろうか。

この大陸に平和は、本当に訪れるのだろうか。

それらを考えるだけで、辛くなる。

大王や其れに尽力する人々は、この苦しみをどうやって……

乗り越えているのだろう。





















11/30/2023, 11:40:19 AM

愛しき、貴男。

貴男は、多くを背負う強き方。

貴男は、誰よりも人の上に立つ器を有する方。

でも、貴男だって心の拠り所が必要よ。

わたしと同じ人間なのだから……。

いい加減、あの方を、貴男の心の拠り所を、迎えに行きなさい。

貴男には、あの方が必要よ。

それは、わたしたちでは担えない。

悲しいけれど、あの方しか…貴男を救えない。

わたしたちに遠慮せず、あの方を迎えていいの。

だから、どうか、これからは泣かないで。




11/29/2023, 10:09:07 AM

吐息は、白く色づく。

頬は赤らみ、より鮮明に肌の白さが目立つ。

毛糸の手袋に厚めのトレンチコート、ウールで出来たブーツ。

夜明けは遅く、日暮れは早い。


冬の銀世界は美しいが、寒さはキツい。

とくに、悴むと色々と…めんどうだ。

11/27/2023, 2:26:27 PM

私の母は、そよ風みたいな人だった。

月白色の髪を一本の三つ編みにして、紫翠石みたいな綺麗な目をしていて、

白磁器みたいなすべすべした温かい肌で、よく私の頭を撫でてくれた。

私には、たくさんの兄弟姉妹がいたけど、皆、一人ひとりを見てくれた。

母は仕事が忙しくて、あまり家に居なかったけど、

私たちの面倒を見る人たちが、たくさんいて、その人たちが色々してくれた。

母は、よく私たち一人ひとりを抱きしめて『世界一の宝物』と言っていた。

それを言われると、私は嬉しくて、嬉しくてたまらなかった。

たくさんの愛情を注ぎ、時には諌め、よく褒めてくれる、そんな母だった。

時は経ち、旅立つ頃に成った。

その時、気が付いた。いや、ずっと…どころか、違和感が在った。

何故、そんなに若いのだろう…と。

何故、そんなに仕事を教えてくれないのだろう…と。

何故、容姿が全く似ていないのだろう…と。

そう、母と私では…どう考えても年齢的に親子では無いこと。

そして、私は後に知ることになる。

本来なら、赤子の頃に家族と共に秘密裏に処刑されていたことを。

当時処刑人だった、まだ子どもだった母が、私を匿い、戸籍を変え、

私が成人するまで育ててくれたことを。

そして、私の実の家族を処刑した人でも、在ったことを。

もし、あなたが最低な人だったら、激怒し、恨むことが出来たのに。

もし、あなたが沢山の愛情を注いでくれなかったら……。


あなたは、私の家族を殺した人。

そして、あなたは…誰がなんと言おうと、唯一の私の母だ。

血の繋がりは、無い。

でも、あなたが私に沢山の愛を注ぎ、育ててくれたは、何一つ違わぬ事実だ。

だから、私は…あなたを…母を…赦す。

だから、私は…これまで通りに母に接する、大好きな娘として。


『─親愛なるお母さまへ
     
 本当のことを話してくれて、ありがとう。
 
 これまでも、これからも、あなたのことが大好きな娘より』
      






Next