たまに、帰りたくなる。
此処より陸路で東へ進み、海を渡った先にある、
極東と呼ばれる、私の故郷に帰りたくなる。
今、この大陸の国は他国に侵攻している。
侵攻は周辺の国々を滅ぼし、飲み込むまで続く。
国々を完全に飲み込み、安定するまでは帰れない。
其れが達せられるのは、最低でも十五年後の事だろう。
其れまでは、帰れない。
この侵攻は、永き戦乱の世を終わらせる為のものだ。
幸い、この国の大王は人の痛みを知る人だ。
だからこそ、この永きの戦乱の世を終わらせようとして居られる。
私は、この国に恩がある。
その恩を返す為に…私は此処で生きている。
あと、何万人の人々が犠牲になるのだろうか。
この大陸に平和は、本当に訪れるのだろうか。
それらを考えるだけで、辛くなる。
大王や其れに尽力する人々は、この苦しみをどうやって……
乗り越えているのだろう。
12/1/2023, 3:26:16 PM