kiliu yoa

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10/20/2023, 10:32:53 AM

 耳を澄ませる。

 なんとなく、好きな音に耳を傾ける。

 虫の音が静かに響き、心を優しく包んでくれる。

 だからだろうか、虫の音を聴くと 凪みたいに穏やかになる。

 秋は、何もかも崩れる。

 日が暮れる時間が早まることで、心の調子は崩れてしまう。

 寒暖差が大きいことで、春や夏の疲れが押し寄せる。

 これらが重なることで、体調が崩れてしまう。

 でも、だからこそ、日々を見直せる気がした。

 春や夏の無茶を、秋には見直し、冬には反省を生かす。

 だから、秋は『いつものはじまり』だと思う。

 わたしにとっての、本当のはじまりはいつも秋だった。

 

 

 

10/19/2023, 2:19:45 PM

 いやよ、ひとりの女だけを愛さないで……。

 わたしは、あなたの妾に過ぎないわ。

 でも、心から…あなたを愛してるの。

 そんな……わたしの側にいるときより、幸せそうな顔をしないでよ。

 ああ、わたしのまえで…そんなに彼女のことを嬉しそうに……話さないで。

 そう言えたら、どれだけ良いのだろうか。

 あなたに嫌われることが、何よりも恐ろしいの。

 離れることは、甘い嘘より……いやよ。

 わたしの愛を、忘れないでね。


 
 


 
 

 
 

 

 
 

 

 

 

10/16/2023, 2:11:20 PM

 暖かく、麗らかな、中性美を纏う、魅惑の貴女。

 そよ風のように、私に触れる貴女。

 凪のように、穏やかな貴女。

 竹のように、靭やかな貴女。

 蝶のように、軽やかな貴女。

 何人たりとも惚れぬ、母鷹のように凛々しい貴女。

 貴女の前では、青薔薇も色褪せる。

 貴女の温もりは、巨万の富も価値を成さない。

 この世で最も深く愛す、貴女。

 私の妻として、子どもたちの母として、貴女は幸せでしたか。

 貴女の、風花のように澄んだ声を……鈴のような笑い声を……

 どうか、もう一度だけ、聴かせて……。

 

 


10/14/2023, 2:34:38 PM

 もっと、もっと、上に成らなければ……。

 もっと、もっと、強く成らなければ……。

 あの頃は、かなり思い詰めていた。

 強さばかりを追い求め、いつも努めていた。

 強く成らねば、生きる意味は無い。そう、感じるほどに。

 己の有する全ての才能を、研ぎ澄ませることしか……眼中に無かった。

 若さ故に……無知が故に驕り、傲慢だった。

 かつて、誰よりも完璧で無ければ、己を許せなかった。

 かつての己は、苛烈で独善的だった。

 まるで反面教師にしていた、師匠のように。

 何も考えず、いとも容易く、躊躇も無く、淡々と命を奪ってきた。

 命の重さは、皆等しく同じだ。

 重罪人とて、それは変わらない。

 かつて、命を奪うことは己を強くする手段の一つでしか無かった。

 でも、今は違う。

 今の己は、命を奪うことの重さを知っている。

 己の強さは、他者を思い遣らねば、成立しないことを知っている。

 研ぎ澄ませてきた……己の強さは、他者が苦しまぬ為に在る。

 高みを見るのでは無く、眼の前のことに集中する。

 そして、その一瞬が生涯に幕を閉じる者の『人生』を決めるのだと思う。
 



10/13/2023, 10:47:56 AM

 あの純粋さを持ち続けたかった。

 なんて、今更思う。

 過去は悔いぬ、変えられぬものには、固執はしない。

 幼き頃、親に存分に甘えたかった。

 しかし、もうあの時には戻れない。もう、家族はいない。

 誰一人として、もう此の世にはいない。

 もう……やっと……血の呪縛から逃れられた。

 そう思っていた。

 そして、気が付いた。

 一度、汚れた手は……もう二度と綺麗になることは無いことに。

 此れこそが、血の呪縛という事に。

 ハハハッ…、嗤える。

 まるで、悲劇の主人公みたいに滑稽だ。

 ひどく嗤える話しだろ? 

 嗤ってくれよ、…………頼むよ。

 笑ってくれよ、…………子どもみたいに。

 




  

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