雪桜(引き継ぎ)

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10/6/2025, 8:37:01 AM

「月明かりの下で」



バーカウンターで飲んだ帰り道
思い切って手を繋いでみた

火照った身体に君の熱が伝わって
自分の顔が赤くなるのがわかった

焦って質問ばかりしてた帰り道
気をつけないと早足になっていた

人も車も少なくなった町外れは
新しいシーンの映画のセットみたいだ

時々起こってしまう沈黙の時間に
2人の足音だけが響いていた

横目で彼女の顔を感じようとするけど
月明かりがぼんやり照らすだけだった

僕は心の中でちょっとほっとした
これ以上君の綺麗な顔を見る自信はなかったから

今夜君と歩くには
これぐらいの明るさがちょうどいい

10/5/2025, 4:49:57 AM

「甘い優しさ」



ずっとずっと相談してから

君に背中を押してもらって

勇気を出して告白してみた

予行練習してたとおりに

いつから好きだったかを精一杯伝えてみたけど

彼の気持ちは一緒じゃなかった

申し訳なさそうに断る彼のために

せめてもの笑顔で別れたけど

帰り道は我慢してたけど

君の顔を見た瞬間に気持ちが溢れ出してしまった

頑張ったね、と褒めてくれる君

いつだって私に優しさをくれる君

君の私への気持ち知ってたよ

私の恋を応援してくれてる顔が

時々悲しそうになるのも気付いてたよ

それでも今はもう一度君の優しさをお願い

10/4/2025, 12:35:31 AM

「よくある歌」



誰かじゃだめ
君じゃないとだめ

10/3/2025, 8:29:56 AM

「なごり」



バイバイまたね

挙げようとした手を彼が握りしめる

おかしな握手みたいに何度か振ってから

横断歩道を渡って駅に向かう背中に

彼の手の温もりが残った手を振る

指の間を夏の終わりの風が吹いて温もりは冷めていく

遠くなる足音が胸の中で響いてくる

時々振り向いてくれる笑顔に

胸が詰まって手を振れなくなっていく

次も会えるとわかっていても

小さくなっていく彼の背中を

見えなくなっても追い続けてた

彼の握力と足音を感じながら

10/1/2025, 9:21:47 PM

「秋のメタファー」



本のページをめくるように

ゆっくりと訪れて

恥ずかしがり屋さんみたいに

足早に去っていく秋

衣替えをするように

夏の思い出を整理して

冬の準備をさせてくれる

短い秋に人々は

思い思いの秋を楽しもうとする

秋が白秋と表現されるのは

あなたの好きな色に染めてください、という

秋の優しさなのかもしれない

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