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1/15/2024, 10:32:45 AM

お題:この世界は

1/14/2024, 10:06:41 AM

お題:どうして

1/14/2024, 5:22:51 AM

お題:夢を見ていたい

「あれ、七海サンもう起きたんですか?」
 ベッドの中で未だ微睡から抜け出せないでいる猪野が、寝室に入って来た七海に話しかける。
「起こしてしまいましたか、すみません。急な任務が入りまして。これからすぐに出かけます」
 既に着替えを済ませてあとは出かけるだけの状態になっている。昨晩の色事を全く感じさせない。さすがだ、と猪野は感心する。
「七海サン、いってらっしゃい。気をつけて」
「ええ、いってきます」
 ベッドから身を乗り出した猪野と触れるだけのキスを交わして、七海は玄関を任務に向かって行った。
 本当はもう少し一緒に夢をみていたかったけれど。それは残念ながら叶わなくなってしまった。でも、もう少しくらい余韻に浸っていてもバチは当たらないはず。猪野はそうたかを括り、夢の続きをみるためにもう一度布団に潜り込んだ。

1/9/2024, 10:41:04 AM

お題:三日月


 夜更けに二人でコンビニへ買い出しに出かけた帰り道。空には綺麗な三日月が浮かんでいた。
 道中、ほとんど会話はなかったが、それは固苦しい沈黙ではなかった。無理に沈黙を破る必要を感じなかった。同じ空間を共有していることが心地よい。今まで、誰ともこんな気持ちになったことはなかった。猪野は不思議な男だ。

1/8/2024, 10:11:26 AM

お題:色とりどり

 ポツリポツリ。ひとつふたつと雨音が増えてゆく。窓の外では静かに雨が降り出した。天気予報どおりの雨。
(猪野くん、傘を持って行ったんでしょうか?)
 猪野は今日は早朝からの任務で、七海が起きる前に家を出て行った。天気予報だって見ていないだろう。
 そう思ったら、居ても立っても居られなかった。気がついたら二人分の傘を持って家を出ていた。
 街では色とりどりで鮮やかに咲く傘とすれ違う。彼はそれを「紫陽花みたい」と言って笑っていたっけ。
 高専に着いて少しすると、任務を終えた猪野が七海を見つけて声をかけてきた。
「あ! 七海サン! どうしたんですか?」
「いえ、その、報告書を提出に……」
 素直に、傘を持ってきたとは言えなかった。
「そんなことより猪野くん、びしょ濡れじゃないですか」
「そうなんすよ。結構雨足が強くなっちゃって。これからシャワー浴びて着替えてきます。時間かかっちゃうから、七海サンは先に帰ってもらったほうが……」
「いいえ、待たせてもらいます」
「わかりました! 超特急で済ませてきますね!」
 そう言うや否や、ダッシュで消えてゆく猪野の背を見送った。

 程なくして、シャワーを済ませた猪野と合流した。
「雨、まだ止んでないんですね」
「そうですね」
 雨足は弱まったものの、止む気配のない雨。
「猪野くん、これを」
 そう言って、持ってきた傘を1本差し出す。
「! ありがとうございます! ……七海サンもしかして、俺のこと迎えに来てくれたの?」
「……そうです」
 俯きながらか細い声で答える七海。耳が朱に染まっている。
「! 嬉しい! ありがとうございます!!」
 もしもここに二人きりだったら、抱きついてきそうな勢いで喜んでいる。
「ねぇ、七海サン」
「なんですか?」
「せっかく傘持ってきてくれたのに申し訳ないんスけど……相合傘して帰りましょ?」
「それは……わかりました。いいでしょう」
 1本の傘。狭い中で身を寄せ合って帰るのも悪くないと思う七海であった。

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