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1/2/2025, 1:20:34 PM

お題:今年の抱負

「七海サンの今年の抱負は何スか?」
 高専内で出会った猪野くんから尋ねられた。
「抱負ですか?」
「そう。俺はね、変わり映えしないけど、七海サンに認められる術師になること! 今年も頑張りますよー!」
 そう張り切って宣言する姿が微笑ましい。
「君の強さは認めていますし、信頼もしていますよ?」
「それはそうなんスけど……もっと、こう、非の打ちどころがない術師になりたいんス!」
「そうですか。頑張ってくださいね」
 認めているし信頼しているという言葉に嘘はないが、それでも精進するというのなら応援するに決まっている。
「はい! ……で、七海サンの抱負は?」
 再び話の矛先が向いてしまった。どうしたものか。
「私の抱負ですか……抱負と言うほど大袈裟ではないのですが、もう少し素直になれたらいいな、とは思っています」
 言っていてなんだか恥ずかしくなってきて、後半は声が小さくなっていたと思う。
「そのほうが、君は安心するでしょう?」
「えっ、俺!? 俺のため!?」
 猪野くんが目を見開いて聞き返している。
「そうですよ。私のせいで君を不安にさせたくないんです」
「七海サーン! 大好き!!」
 ガバリと猪野くんが抱きついてくる。
「こら、ここは高専内ですよ」
 猪野くんを引き剥がしつつその場を後にした。

12/18/2024, 3:09:53 PM

お題:冬は一緒に

冬は君と一緒にいたい。
こんなに寒い冬を一人で越せる気がしない。
一人だったころはどうしていたか、まるで思い出せない。

12/17/2024, 11:30:35 AM

お題:とりとめのない話

今朝、近所の三毛猫に挨拶できたとか。
お昼に食べたアジフライが美味しかったとか。
夕方、報告書が思ったよりスムーズに書けたとか。
帰り道の月がまん丸で綺麗だったとか。
いつだって君の話を楽しみにしている自分がいる。
以前だったら、くだらないと一蹴していただろう。
そんなとりとめのない話を聞く幸せを教えてくれた君に感謝して、今日もその時を待っている。

12/16/2024, 2:25:08 PM

お題:風邪

 珍しく、本当に珍しく風邪を引いた。何年振りだかわからない。しかも、熱が出て外出が憚られるほどの風邪だ。当然任務はキャンセルになり、自宅待機を言い渡された。流行病だと困るので病院には行ったが、幸い陰性だったことだけが救いだ。

「七海サン、戻りましたー! 体調どうっスか?」
 夕方、ちょうど仕事帰りだと言う猪野に、必要なものを買って帰ってきてもらえて助かった。病院にはなんとか行ったが、買い物をして帰ってくるのはなかなかしんどい体調だったからだ。
「おかえりなさい。買い出しありがとうございます。助かります。症状は朝よりは随分マシになりましたが、まだ熱は下がりませんね」
「そっか、それは辛いですね」
 ベッドで横になっている七海に歩み寄り、そのおでこに自身のおでこをくっつける猪野。
「猪野くん! ちょっと…!」
「ほんとだ。まだまだ熱いッスね。辛そう…」
「君に移すわけにはいきませんから。あまり近づかないほうがいいですよ」
 七海の様子を見て眉を下げる猪野に対して、自分から距離を取るよう諫める七海。そんな中で、猪野が良いことを思いついた! とばかりに提案をする。
「ねぇ、七海サン? 運動して汗かいたほうが風邪が治るっていいません?」
「?」
「これから二人でたっぷり運動して、風邪なんかやっつけちゃいま…」
「ダメです。今晩は君は私に近づいてはいけません。君まで風邪を引いてダウンしたとなれば現場は大混乱でしょう。それは避けなければなりませんから」
 七海の言うことは至極真っ当だった。七海が乗ってくれたらラッキーくらいの提案だった猪野は、ここは大人しく引くことにした。
「じゃあ、風邪が治ったら覚悟しててくださいよ♡」
「……考えておきます」

 風邪が治ったら治ったで、開けた穴をカバーする任務が続き激務激務で、しかもすれ違いも多く、二人の時間なんてほとんど取れなかった。それでも、会えない時間が長いほど想いは募るもので。いつかくる次を心なしか楽しみにしている二人がいた。

12/13/2024, 10:39:47 AM

お題:愛を注いで

君はいつでも溢れんばかりの愛を注いでくれる。
私もそれに応えたいけれど、どうしても恥ずかしさが勝ってしまう。
どうかこんな私に愛想を尽かさないで。

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