お題:雪
「わー!綺麗に積もりましたね!雪!!」
「そうですね」
窓から外を見て、楽しげな君。街は白く色づいていた。天気予報通りとはいえ、都内にしては珍しいくらい見事な雪景色だった。
「ねぇ、七海サン。外、行きましょ!」
「……えぇ」
嬉しそうにはしゃぐ君を前にして、断るという選択肢はなかった。
「当たり前だけど、めちゃくちゃ寒いっスね〜」
太陽の光を受けてキラキラと光る世界。君は両手を擦り合わせながら身を縮めて、白い息を吐いている。
「わ、七海サンの手冷たい。冷え性?」
「きっと君の体温が高いんですよ」
コートのポケットから出した手を両手で包まれる。自分よりもあたたかな彼の手の中は心地よかった。
「こっちの方がもっとあったかいでしょ?」
指の指が絡まり、いわゆる恋人繋ぎをする猪野。少し体温が上がった気がする。
「少し散歩しませんか?」
「えぇ。構いませんよ」
普段なら恥ずかしくて断っていただろう。でも今は、この真っ白な世界に二人しかいないような気がして、誘いに乗ることにした。
こんな平穏な世界が、無邪気な笑顔が、暖かな手のぬくもりが、どうか永遠に続きますように。
永遠なんてそんなもの、到底叶うはずもないのに、どうしてもそう願ってしまうのだ。
お題:君と一緒に
私の家に君の荷物がだんだんと増え、ついに君と一緒に暮らすようになった。なんだか気恥ずかしい。
既に恋人同士になっていて、他人には見せられないような姿も見られているのに、だ。
合鍵を渡してはいたが、それとは訳が違う。お互いがお互いの生活の一部になったのだ。
朝起きて「おはよう」と言う相手が、出掛けには「いってらっしゃい」と、帰宅すれば「おかえりなさい」と言ってくれる相手がいることが、こんなにも幸せなことだとは思わなかった。
一寸先すらどうなるかわからない私たちだけれど。
この先も、ずっと、君と一緒に。
そう願わずにはいられない。