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お題:雪

「わー!綺麗に積もりましたね!雪!!」
「そうですね」
 窓から外を見て、楽しげな君。街は白く色づいていた。天気予報通りとはいえ、都内にしては珍しいくらい見事な雪景色だった。
「ねぇ、七海サン。外、行きましょ!」
「……えぇ」
 嬉しそうにはしゃぐ君を前にして、断るという選択肢はなかった。

「当たり前だけど、めちゃくちゃ寒いっスね〜」
 太陽の光を受けてキラキラと光る世界。君は両手を擦り合わせながら身を縮めて、白い息を吐いている。
「わ、七海サンの手冷たい。冷え性?」
「きっと君の体温が高いんですよ」
 コートのポケットから出した手を両手で包まれる。自分よりもあたたかな彼の手の中は心地よかった。
「こっちの方がもっとあったかいでしょ?」
 指の指が絡まり、いわゆる恋人繋ぎをする猪野。少し体温が上がった気がする。
「少し散歩しませんか?」
「えぇ。構いませんよ」
 普段なら恥ずかしくて断っていただろう。でも今は、この真っ白な世界に二人しかいないような気がして、誘いに乗ることにした。

 こんな平穏な世界が、無邪気な笑顔が、暖かな手のぬくもりが、どうか永遠に続きますように。
 永遠なんてそんなもの、到底叶うはずもないのに、どうしてもそう願ってしまうのだ。

1/7/2024, 4:20:19 PM