【愛(恩義)さえあればなんでもできる。】
僕は彼女に救われた。中学1年生の頃。僕はクラスの生徒2人にいじめられた。それは中学2年生になっても続いていた。彼女と出会ったのは中2で同じクラスになったからだ。彼女の名前は小林花奏。花奏は中1の頃、色々と問題児だったらしい。クラスメイトの顔を壁に押さえつけて泣かせたり、先生に対して反抗をしたり、様々な情報が僕に流れた。最初はあのいじめっ子と同じ感じであまり関わろうとしなかったが。時間が経つに連れ親友とも呼べる相手になった。
とある放課後。また、いじめっ子二人に校舎の裏に呼ばれた。夕方の5時ぐらいだろう。大体の生徒が部活などで帰る時間だ。はぁ。正直ツラい。親は仕事で忙しいし、先生に言ってもその場で注意するだけでその後も続く。
いじめっ子A「ほら、今日は金持ってきたか?昨日や一昨日みたいに痛い目あいたくねぇだろ?1000円ずつでいいから、俺たちに渡してくれよ。俺、今金欠なんだ。ゲーセンで惜しいとこまで行ったんだけどな。」
海星「結局取れてないじゃん。」
いじめっ子A「黙れよ。」
そう言われながら殴られる。
いじめっ子B「お前に喋る権利なんて与えてねぇ。お前の役割は、俺等に金渡すことだろうが!」
はぁ、泣きたくなる。殴られた頬は赤く腫れているだろう。逃げても無駄だ。これがこれからもあるのかと思うと、自殺しようかと思ってしまう。その時だった。
花奏「お前ら、なにやっとんじゃい。」
花奏だ。だめだ、逃げろ。男二人じゃ…。
いじめっ子A「女一人で俺等に勝てるわけねぇだろ。」
いじめっ子B「こいつもやるか?」
いじめっ子A「いいなぁ。」
そうして、花奏のいる方にいじめっ子たちが向かった。
花奏「お前ら。こいつをボコせ。」
その合図とともに後ろから数十人の男子生徒がやってきた。
花奏「お前らごときで、私たちに勝てるとでも?だから知能がたりねぇんだよ、猿。尻尾巻いて逃げたら?雑魚。群れることで自分は強いって勘違いしてるんちゃいますか?」
するといじめっ子Bが花奏の顔面に一撃を与え、そそくさに逃げていった。つられていじめっ子Aも逃げ出した。花奏は立ち上がり、
花奏「話したいことがあるんだったら、教室に来い。待ってるから。」
それを言って、花奏たちはその場を後にした。僕もそれを追うように教室に向かった。
教室に来ると、先程の生徒たちがいた。僕はドアの近くで、
海星「さっきはありがとう。」
と、頭を下げお礼の言葉を言った。
男1「気にすんな。ほら、座りな。」
彼の声音はとても優しかった。泣きそうになりながらも、僕はみんなと対面するような形で椅子に座った。
花奏「話を聞こう。お前の抱えてきたもの全部言ってもいいし、黙ってても良い。まぁ、気持ちの整理ができたら帰っても良い。」
そう言われたので、僕は抱えてきたものを全部ぶちまけた。いじめられたときの気持ち。誰にも頼れなかった僕の心。隅から隅まで話した。
男2「そうか、お前はよく頑張った。これまで、一人で抱えこんで。辛かったよな。ごめんな、早くに気ずけなくて。」
そう言って、僕を抱きしめた。続いて他の男たちも僕を抱きしめた。その温もりのせいか、僕は泣いていた。ほんとに、ありがとう。
花奏「なぁ、海星。」
数分が経過して、花奏が質問をしていた。
花奏「このこと、警察に伝えたほうが良いと思う。中1のクソ担任のせいで、ここまで続いたんだ。どうせ今回のことだって…。だから、警察にいったほうが手っ取り早い。どうだ?私も付いて行くぞ?」
そう言われたので、僕も警察に言うことにした。今日の夜7時頃に警察署にやって来た。中に入ると、警察の人がこっちによってきた。
警察「どうしたんだ?親が心配する時間帯だぞ。何があったんだ?」
その問いに花奏が返す。
花奏「こいつ、学校でいざこざがあって先生に一度言ったことがあるんですけど、先生も役に立たなくてここに来たということです。」
警察「その傷は?」
海星・花奏「殴られました。」
警察「とりあえず、話を聞こう。」
数十分後。
警察「そうか、君もよく頑張った。明日にでも学校に行くよ。君たちはもう帰りな。もし、親に何か言われたらこの番号に電話させな。僕が出るから。」
そう言って、警察は門まで連れて行ってくれた。
警察「気おつけなよ。」
それを最後に僕らは歩き出した。
家についた。誰もいない。風呂を沸かし、母が冷蔵庫に入れた夜の弁当を取り出す。レンジで温めて食べる。今日のご飯はとても美味しかった。少ししょっぱいものも混ざったが…。
次の日、僕らは学校の生徒指導室にやってきていた。そこには、いじめっ子と花奏たちと数名のその親がいた。僕も椅子に腰を掛け、何分か待つと昨日の警察と担任がやって来た。まず、警察が呼び出した理由を説明する。すると、
いじめっ子Aの母「なんで私等まで呼ばれなくちゃ行けないのですか?昨日、家の息子が殴られたんですよ?ほら、顔に傷があるじゃないですか。」
いじめっ子Bの母「そうですよ。家の子にも傷があります。ほら。」
花奏たちは傷つけてない。あれは嘘だ。そんなことを思ってると花奏が立ち上がった。
花奏「じゃぁ、お母さん。こちらをご覧ぐださい。」
すると、テレビに何かを繋げ映像を映した。
花奏「これは、昨日の早朝から映し出した映像です。夕方までとばしますね。はい。夕方の5時前頃にあなたがたの息子さんたちがやってきました。続いて、佐々木君が来ました。」
殴った。その映像を見て僕側についている親たちはざわめき出した。
いじめっ子Bの母「息子が殴った事は謝りますが、大勢を味方につけて返りうちにするのもどうかと思います。」
花奏「ふっ。じゃぁ続ぎを見てくださいよ。ここで私等が来ます。はい、私殴られましたけど、そいつ逃げましたけど、何か反論は?ありますか?ほら、私の頬見てくださいよ。」
いじめっ子Bの母「…。」
花奏「は。無視かよ。んま、いあや。次見てちょ。これは、二人が逃げた後のこと。見て!なんか喧嘩しよる。バカやねぇ。その傷。原因これやろ。よく見て。血が出てる。」
いじめっ子A・B「…。」
花奏「はい次。これは佐々木が金取られるとこ。無理やりやってるよね?佐々木の情報によると、いじめが始まってから1週間に約4日金取りよる。合計260000円ぐらいかな?いや、時々3000円とか2000円とか取ってたから、約400000円。2人分で800000円だな。」
いじめっ子A「それは違う。佐々木の奴が俺等に毎日くれるって言ったから…。」
花奏「じゃぁこれは何?」
花奏はビデオをスライドさせそれを映し出す。
花奏「これはゲーセンだな。音声もあるからよう聞いとけよ。」
「
いじめっ子A「いやぁ、たまったたまった。あいつの家、金持ちだから狙って正解だったな。」
いじめっ子B「それな。毎日1000円以上持ってきてるから、ありがたいわぁ。家のお小遣いよりもこっちのほうが良いわぁ。」
いじめっ子A「これからも続けような。あいつが反抗したって殴ればいいし。」
いじめっ子B「あいつ弱いもんな。すぐ泣くし。ww。」
」
花奏「何か反論は?ないよね?警察さん。あとはよろしく。」
それを言い終え、花奏はカメラを戻した。いじめっ子とその親は警察に連行され、行ってしまった。あとは風に身を任せよう。
それからというもの。あいつ等のいじめもなくなり、数日が経過した後、僕が彼らに渡していたお金とともに慰謝料が届いた。花奏たちには感謝である。そういえば、あいつの口癖はあれだったよなぁ。「やるからには徹底的に。」だったっけ?お土産買って渡そう。そう考えながら僕は出かける準備をした。
海星「この前はありがとう。これお土産。受け取ってください。」
花奏「お前も賢くなれ。そして…、私にテストで勝ってみろ。」
そう煽りながら言う。
海星「いつか勝ってみせるさ。花奏と同じ高校行ってそこでも勝ってみせるさ。」
花奏「ほんとか?まぁ、期待せずとも待ってるさ。」
海星「そこ期待してくれません?」
そこでお互い笑い合う。
花奏「困った時はまた声かけろよ。私も頼るかもしれん。あのグループの女は1人なんだから。」
その言葉に僕は笑みを返し、
海星「ありがとう。」
と言うのであった。
【後悔】
人間は、生きていればいつか道を間違える。だって、そういう生き物だから。その間違いを今後に活かせれば良い。ただ、僕はその間違いを置いてきてしまった。
小4の夏頃。僕の家族が引っ越すことになった。父親の仕事の影響である。それを聞いた瞬間、とても嬉しかった。新しい家に住み、新しい街に、風景に、人に会えるのだ。そう思わずにはいられなかった。クラスのみんなにも伝え、残りの時間を友達と遊んだり、テストで競ったり、お話をして笑ったり。充実な日々だった。
そうして月日が経過した。もう3月。30のカウントダウンが始まった。僕には好きな人がいた。明るく陽キャで可愛くて、とても大好きだった。残りの日数で好きだと伝えて別れよう、と考えていた。しかし、引っ越しの日が近づくに連れ、緊張が僕の行動を止めた。やっぱ明日にしよう。それが何日も続いた。引っ越しの日は日曜だった。引っ越しの前日、その人の家に行って告白しようと決意した。
親には朝から昼まで公園で友達と遊ぶと言って、お弁当も用意してもらった。よし!僕ならきっとできる。そう思いながら、朝の9時から彼女の家に向かった。家についた。
『ピンポ〜ン』
僕の家と同じチャイムが鳴る。しかし、反応がない。駐輪場を見ると車がなかった。出かけているのかな?正面で待機しているのもなんか変だと思い、道の角で顔をのぞかせ待った。
全く来る気配がない。12時をまわり昼食も済ませ同じ場所で待機。
暗くなってきた。時計を見る。もう5時だ。6時まで。必死に粘る。来ることを祈りながら。
6時だ。あぁ、だめだ。もう帰らないと、ママに怒られる。
6時半。帰ろう。僕は泣きながら帰った。家に着くと、母が立っていた。怒られるのかと思っていたが、母にはそんな気がなかったらしい。
母「ごめんね。こっちの事情で友達と離れ離れにさせて。」
涙がこぼれる。もっと時間があれば。いや、もっと早くに伝えるべきだった。僕は母に抱かれながら数分ほど泣いたのである。
僕はこの経験から、「できることは先にやっておこう」という思考になった。優先すべき順序を作り、今しないといけないこと。野放しにしてはいけないもの。この区別をするようにした。次の告白がこのような結果にならないことを祈って。
【風に身を任せて】
僕は中学を卒業したあと、5年制の看護科に進んだ。僕の夢は看護師である。
?「看護師だって?お前がなれるわけねぇだろ。大した学力もないし、看護師なんて女がやるもんじゃねぇか」
中学1年生の時に、こんなことを言われた。その頃はとても頭が悪く、全くテスト勉強をしていなかった。提出物もお粗末で、成績も低い。僕はこの言葉を聞いたとき、これを言った奴らを見返すことにした。夢は誰にだってあるものだ。それを他人にピーチクパーチク言われる筋合いはない。そうして、僕は残りの2年間必死に勉強した。中学の友達を全部捨て、できるだけ頭の中でも勉強できるような思考にした。ただ、一人だけよく話しかけてくる奴がいたな。
中学2年生のテスト。僕はまぁまぁの点だと思っていた。昔は平均が50点ぐらいだったか?それが40点も上がったな。まだまだか。しかし、そいつはどうだ?
海星「やったよ!総合点が400点を超えたで!」
左前におるやつは僕に向けてそういった。なぜこの程度で喜べる?本番は入試だそ?
僕「この程度で喜べるなんてな。」
海星「そりゃあ、1年よりも50点以上上がったんやから、そりゃ喜ぶよ。」
まぁ僕は200近くなんだがな。ここで彼との会話は途切れた。授業中は頭の中で予習したところの勉強。5分で出来る授業をなぜ45分も使ってやるのか、意味不明である。少しナイショクをして、また授業が終る。これの繰り返し。それが2年も続いた。
受験当日。僕は公立高校の会場に来ていた。
海星「おう!久しぶり」
僕「久しぶり言うても前日休んだだけやん。」
海星「その1日会えなかったのが寂しんだよ?」
僕「ふ~ん。で?お前は自分が受かる受かると思うか?」
海星「モチのロンですよ。でも、そっちの方は確実に受かるでしょ。国立高校も受かってんだから。」
僕「はっ。当たり前だろ。看護科トップで入ってやるよ。」
あいつは普通科を選んだが、僕は看護科の道へ進んだ。そしてテストは終わった。お互い合格。入学式当日。教室に入って席に座る。男子がいない。女子しかいない。退屈だ。あの頃は他人であろうが話していたというのに。これから5年間。このクラスで過ごさないといけないのか。まぁ、時々あいつも来るって言ってたから、少しはマシだろ。
僕「全部、周りの奴らに任せるか。」
そう言って、僕は風に身を任せた。
【失われた時間】
《Part1》
友達だと思っていた相手は私を騙していた。
相手「私達、友達やめよう。」
その一言だった。私は察した。この人は私のことを勉強のためだけに使う道具にしていたのだ。私は思わず絶句した。これまでに築き上げてきた友情。それが全て風化するように崩れ落ちてく。この時間は何だったのか。相手と過ごしてきた時間は何だったのか。裏切られた怒りと悲しみで次の日は休んだ。私はやっと気が付いた。無駄な時間を過ごしていたということに。さよなら、私の気持ち。はじめまして、「〜」。
《Part2》
僕は高校受験のためにひたすら頑張った。ゲームもせず、携帯も用事がない場合は見ないようにした。ひたすら復習。そんな毎日を過ごしていた。僕が目指していた志望校の偏差値は65。自分の模試は中2のときと比べ合格圏内まで達している。これもすべて毎日勉強してきたからだ。無駄な時間を潰し、できるだけ教科書を読んだり、参考書を独自で作り理解力を深めた。入試当日。僕は何も緊張していなかった。結果は合格。嬉しかった。それとともに、大学受験の準備をしないといけないと思った。大学入試は高校入試と比べ物にならないくらい大変だそうだ。中学生の頃の反省も兼ねて、今からでも勉強しよう。
作者「君はこの文を読んで、なんの時間を失ったかわかったかな?」
【子供のままで】
「私はもう大学4年生。来年から晴れて社会人だ。親から離れて、一人だけの時間が過ごせる。やったー。」
と、大学4年生の初期に思っていた。しかし、社会人というのはそんなに甘くなかった。
就職してからというもの。労働基準法で定められている8時間をきっちり仕事し、後輩のやり残しや間違いに目を向け仕事の延長をする。たまには上司から飲みに行かないかと誘われる。これらの残業はとてもきつい。6時に帰りたい私は「仕事のためだ」と思い込ませ、さらに仕事をする。それが日常になっている。朝8時に会社に到着し、家に帰宅する頃にはもう夜の10時ぐらいだ。
私「あぁ、子供に戻りたい」
親と一緒に暮らす生活を思い出す。あの時は楽だった。学校という仕事があるだけで、あとは自由だった。家事は母が。仕事は父が行っていた。子供に戻りたい。子供に戻ってずっと子供で…。そんな夢を抱くのであった。