【風に身を任せて】
僕は中学を卒業したあと、5年制の看護科に進んだ。僕の夢は看護師である。
?「看護師だって?お前がなれるわけねぇだろ。大した学力もないし、看護師なんて女がやるもんじゃねぇか」
中学1年生の時に、こんなことを言われた。その頃はとても頭が悪く、全くテスト勉強をしていなかった。提出物もお粗末で、成績も低い。僕はこの言葉を聞いたとき、これを言った奴らを見返すことにした。夢は誰にだってあるものだ。それを他人にピーチクパーチク言われる筋合いはない。そうして、僕は残りの2年間必死に勉強した。中学の友達を全部捨て、できるだけ頭の中でも勉強できるような思考にした。ただ、一人だけよく話しかけてくる奴がいたな。
中学2年生のテスト。僕はまぁまぁの点だと思っていた。昔は平均が50点ぐらいだったか?それが40点も上がったな。まだまだか。しかし、そいつはどうだ?
海星「やったよ!総合点が400点を超えたで!」
左前におるやつは僕に向けてそういった。なぜこの程度で喜べる?本番は入試だそ?
僕「この程度で喜べるなんてな。」
海星「そりゃあ、1年よりも50点以上上がったんやから、そりゃ喜ぶよ。」
まぁ僕は200近くなんだがな。ここで彼との会話は途切れた。授業中は頭の中で予習したところの勉強。5分で出来る授業をなぜ45分も使ってやるのか、意味不明である。少しナイショクをして、また授業が終る。これの繰り返し。それが2年も続いた。
受験当日。僕は公立高校の会場に来ていた。
海星「おう!久しぶり」
僕「久しぶり言うても前日休んだだけやん。」
海星「その1日会えなかったのが寂しんだよ?」
僕「ふ~ん。で?お前は自分が受かる受かると思うか?」
海星「モチのロンですよ。でも、そっちの方は確実に受かるでしょ。国立高校も受かってんだから。」
僕「はっ。当たり前だろ。看護科トップで入ってやるよ。」
あいつは普通科を選んだが、僕は看護科の道へ進んだ。そしてテストは終わった。お互い合格。入学式当日。教室に入って席に座る。男子がいない。女子しかいない。退屈だ。あの頃は他人であろうが話していたというのに。これから5年間。このクラスで過ごさないといけないのか。まぁ、時々あいつも来るって言ってたから、少しはマシだろ。
僕「全部、周りの奴らに任せるか。」
そう言って、僕は風に身を任せた。
5/14/2024, 10:53:21 PM