能力者になりたい佐々木海星(偽名)

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【後悔】
 人間は、生きていればいつか道を間違える。だって、そういう生き物だから。その間違いを今後に活かせれば良い。ただ、僕はその間違いを置いてきてしまった。
 小4の夏頃。僕の家族が引っ越すことになった。父親の仕事の影響である。それを聞いた瞬間、とても嬉しかった。新しい家に住み、新しい街に、風景に、人に会えるのだ。そう思わずにはいられなかった。クラスのみんなにも伝え、残りの時間を友達と遊んだり、テストで競ったり、お話をして笑ったり。充実な日々だった。
 そうして月日が経過した。もう3月。30のカウントダウンが始まった。僕には好きな人がいた。明るく陽キャで可愛くて、とても大好きだった。残りの日数で好きだと伝えて別れよう、と考えていた。しかし、引っ越しの日が近づくに連れ、緊張が僕の行動を止めた。やっぱ明日にしよう。それが何日も続いた。引っ越しの日は日曜だった。引っ越しの前日、その人の家に行って告白しようと決意した。
 親には朝から昼まで公園で友達と遊ぶと言って、お弁当も用意してもらった。よし!僕ならきっとできる。そう思いながら、朝の9時から彼女の家に向かった。家についた。
『ピンポ〜ン』
僕の家と同じチャイムが鳴る。しかし、反応がない。駐輪場を見ると車がなかった。出かけているのかな?正面で待機しているのもなんか変だと思い、道の角で顔をのぞかせ待った。
 全く来る気配がない。12時をまわり昼食も済ませ同じ場所で待機。
 暗くなってきた。時計を見る。もう5時だ。6時まで。必死に粘る。来ることを祈りながら。
 6時だ。あぁ、だめだ。もう帰らないと、ママに怒られる。
6時半。帰ろう。僕は泣きながら帰った。家に着くと、母が立っていた。怒られるのかと思っていたが、母にはそんな気がなかったらしい。
母「ごめんね。こっちの事情で友達と離れ離れにさせて。」
涙がこぼれる。もっと時間があれば。いや、もっと早くに伝えるべきだった。僕は母に抱かれながら数分ほど泣いたのである。
僕はこの経験から、「できることは先にやっておこう」という思考になった。優先すべき順序を作り、今しないといけないこと。野放しにしてはいけないもの。この区別をするようにした。次の告白がこのような結果にならないことを祈って。

5/15/2024, 12:15:31 PM