蝶よ花よ
蟻よ草よ
たいていの人は、蝶や花のように
もて囃されて育ってきてはいない
ほとんどの人が蟻や草のように
踏みつけられたり けなされたり
居ないかのように扱われてきただろう
蟻は蝶にはなれはしない
草は花を咲かせない
それでも いつかは 一瞬だけでもって
夢見るんだ
守り人
世界を壊すか
己を壊すか
どちらか選べ と言われたなら
最初から決まってた 答えを言う
だってこの世界は あまりにも 綺麗だから
醜い己が壊れた方が この世界が 輝くなら
君のいる世界を 守りたいから
己を壊す
遠い遠い南の島。
その小さな島の土手っ腹には、ちょうど
太陽がすっぽりはまるくらいの穴が
貫通していた。
夏至の日の夕方、対岸から見ると
ちょうどその穴に太陽がはまってから
沈む。
その時、太陽の「声」が聞こえるという。
人により内容は様々。
今年は初めて夏至に間に合った。
声は聞こえるのか。
あっ沈み始めた!
耳を澄ます。
…。
…。
何も聞こえない。それとも、聞こえないこと
自体が「それ」なのか?
…きて。
…起きて!
ケンタ、起きて!
その瞬間、ゴボオッと深海から
引き上げられるような感覚があった。
俺は半日ぶりに息を吹き返したらしい。
海に遊びに行って、波にさらわれたボールを追いかけて。
半日?
俺は「あの世界」で、夏至の南の島に
何年も挑戦したのだが。
異世界転生ものってやつか。
でもできれば、目が覚める時の「声」は、
看護師さん跳ね除けて、
俺にビンタしかねない勢いの
(弟から聞いた)
涙と鼻水でぐしゃぐしゃの母ちゃんより、
綺麗で可愛い、最愛の彼女がよかったな…
いないけど。
我が故郷では、朝8時の鐘の音と共に
唱歌ふるさとが流れる。
ありきたりな風景だと思っていた。
しかし、故郷離れて◯年。
今ではなんでもない時に
唱歌ふるさとを聞くと、涙ぐむお年になっていた。
特に2番の歌詞。
如何にいます父母
恙無しや友がき
のところは
涙腺が緩むポイント。
実際に帰りたいわけではない。
もう帰る家もない。両親も亡く、知り合いももう。
私は思い出の中に帰りたいのだと
思っている。
つまらないことでも
あなたを笑わせたい
あなたの力になりたい
あなたと幸せになりたい
そう思って結婚した。
去年亡くなった叔父
「あんな家出て、幸せになれ」
そう言ってくれた
私、今、幸せ?
私、叔父さんに嘘ついてる?
どう?
答えは