ことり、

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1/19/2026, 5:00:03 AM

閉ざされた日記


◯月×日
今日もおばあちゃんから
電話がかかってきた。
「△ちゃん、お父さんもお母さんも
お仕事で、家で1人で寂しいねえ」って。
だけど私は言ったの。
「?わたし、寂しくなんかないよ!
ゲームも、絵本も、ぬいぐるみも、
人形もあるし、色々できて楽しいよっ」って。

おばあちゃんは、「そうかい、
△子ちゃんは偉いねえ強いねえ」
って褒めてくれた!

「ともばたらき」してるお父さんもお母さんも偉いし、わたしは強いんだ!

◯月×日
今日のおばあちゃんの電話、ちょっと淋しそう。
「△子ちゃんは、偉いし強いのに、
おばあちゃんは最近何だか…はあ」

「?そうなの?おばあちゃん、
元気出して。ため息つくと、幸せが逃げるってテレビで言ってたよ」
「そう、そうだね…」
電話は切れちゃった。


あの時。孫の私が
「お父さんもお母さんも、
居なくて淋しい!
おばあちゃん、うちに遊びに来て!」
とでも言えば、
祖母は意気揚々と来てくれたものを。

そこまで、察せれたなら。
閉ざされた日記を前に、そう思う。

1/16/2026, 3:48:31 PM

美しい


君にも見せたい
僕の故郷の田んぼ
稲の苗を植えて 少し成長した頃
その苗に吹く風。

苗の葉の表と裏では 
何というか質感が違う
その葉の質感をキラキラさせて
風は吹く

強く吹けば 強くしなり
弱く吹けば 優しく裏返り
風の強弱を受け止める

青田風、って言うらしいよ
とっても美しいよ

休みの日には
家の農業を手伝っている彼は、
日焼けした顔で笑った-
そんなあなたが、
私には美しい。とても


1/14/2026, 1:44:20 PM

どうして


「どうして?」そんな疑問さえ禁じられた。

私に夕食がないのは当たり前。
私が殴られるのは当たり前。
私が褒められないのは当たり前。
私が家事をするのは当たり前。

だって「私が悪いから」そんなのは当たり前。

その代わり
妹に豪華な夕食があるのは当たり前。
妹が大事にされるのは当たり前。
妹が…
だって「愛されているから」当たり前。

今日も「どうして?」を飲み込み、
お腹をさする。殴られる。そしられる。家事をする。

12/14/2025, 1:53:19 PM

星になる


あのこは星になったんだ。
そう思って夜空を見上げる。
どれをどれを繋いだら、
あのこの姿になるだろう。

見上げたまま、
ぼろっ、と大粒の涙が溢れ出す。
大丈夫、ここでは大丈夫。
泣いていいんだ。
ぐしぐしと手の甲で涙を拭って、
冬の夜、かじかむ素足にサンダル、
ベランダで洗濯物を干す。

長袖の入り込んだ袖口と格闘していると、
脱いであった袖口に突っ込んでくる
あのこの姿が浮かぶ。

靴下を干せば、旦那の靴下を嗅いで、
フレーメン反応する変顔が浮かぶ。

風邪をひいてしまうかと思うくらい冷えて、
部屋に戻る。
旦那のいびきも、
今日くらいはしんみりして聞こえる。

布団にくるまっても、あのこのぬくもりが
恋しい。
目を瞑る。

夢に出てきて。おねがい。

12/10/2025, 2:16:29 PM

ぬくもりの記憶


関西には、十日戎とおかえびす という
イベントがある。

商売繁盛の神様である
恵比寿様を祀るお祭りで、
毎年1月9日から11日の
3日間を中心に開催される。

関西では「えべっさん」として親しまれ、「商売繁盛で笹もってこい」という
掛け声とともに、
「福娘」に、笹に縁起物を飾った
「福笹」を授与されるのが特徴。

マグロに硬貨貼るやつ?
開門と同時にダッシュで一番福!
とかするやつ?

そうそれです。

商売をしている人向けのもので、
紙製の俵や小判といった、各人の欲しい福、
縁起物をたくさんつけてもらって、
(もちろんお金は払う)
他の人より大きな福竹を担いで帰るのが
ステイタス。

その福竹も、できるだけ可愛い福娘さんに
渡してもらうと、縁起がいいとかなんとか。

うちはいつも帰りに、屋台の明石焼きを
食べて帰るのがお決まり。
明石焼きなので、スープが付いてくる…
のではなく、そこのは
スープに浸かった状態で提供される。
それが熱い!!手ェ火傷するゥてなもんで、
それがぬくもりの…激アツの記憶。

いつも家族分奢ってくれた義父も今はなく。

去年の明石焼きは、激アツから、熱くらいに変わっていた。

変わったら変わったで、少し寂しいかな。

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