ことり、

Open App
12/14/2025, 1:53:19 PM

星になる


あのこは星になったんだ。
そう思って夜空を見上げる。
どれをどれを繋いだら、
あのこの姿になるだろう。

見上げたまま、
ぼろっ、と大粒の涙が溢れ出す。
大丈夫、ここでは大丈夫。
泣いていいんだ。
ぐしぐしと手の甲で涙を拭って、
冬の夜、かじかむ素足にサンダル、
ベランダで洗濯物を干す。

長袖の入り込んだ袖口と格闘していると、
脱いであった袖口に突っ込んでくる
あのこの姿が浮かぶ。

靴下を干せば、旦那の靴下を嗅いで、
フレーメン反応する変顔が浮かぶ。

風邪をひいてしまうかと思うくらい冷えて、
部屋に戻る。
旦那のいびきも、
今日くらいはしんみりして聞こえる。

布団にくるまっても、あのこのぬくもりが
恋しい。
目を瞑る。

夢に出てきて。おねがい。

12/10/2025, 2:16:29 PM

ぬくもりの記憶


関西には、十日戎とおかえびす という
イベントがある。

商売繁盛の神様である
恵比寿様を祀るお祭りで、
毎年1月9日から11日の
3日間を中心に開催される。

関西では「えべっさん」として親しまれ、「商売繁盛で笹もってこい」という
掛け声とともに、
「福娘」に、笹に縁起物を飾った
「福笹」を授与されるのが特徴。

マグロに硬貨貼るやつ?
開門と同時にダッシュで一番福!
とかするやつ?

そうそれです。

商売をしている人向けのもので、
紙製の俵や小判といった、各人の欲しい福、
縁起物をたくさんつけてもらって、
(もちろんお金は払う)
他の人より大きな福竹を担いで帰るのが
ステイタス。

その福竹も、できるだけ可愛い福娘さんに
渡してもらうと、縁起がいいとかなんとか。

うちはいつも帰りに、屋台の明石焼きを
食べて帰るのがお決まり。
明石焼きなので、スープが付いてくる…
のではなく、そこのは
スープに浸かった状態で提供される。
それが熱い!!手ェ火傷するゥてなもんで、
それがぬくもりの…激アツの記憶。

いつも家族分奢ってくれた義父も今はなく。

去年の明石焼きは、激アツから、熱くらいに変わっていた。

変わったら変わったで、少し寂しいかな。

12/10/2025, 7:53:35 AM

凍える指先


懐かしい、な

仕事で訪れた、母校

先生と3、4人の同僚と回る校内

古い武道館の前でつい、足が止まった

自分を残して先にゆく人々

ああ、あの時もそうだった

竹刀(しない)を持つ凍える指先

冷たい床の上の裸足

それでも、素振りを皆と繰り返すと
不思議な一体感
冷たいとか、気にならなくなる

俺は剣道で日本一になる!
そんな大それた夢、叶う訳もなく

皆は俺を追い越して行ってしまった
そのうち、自分自身も、
あの時の俺を置いて大人になってしまった

武道館の隅、置き去りの手拭い
そこに日差しが差して

〇〇さーん?

俺を呼ぶ声

は、はーい すみませーん 今行きます

〝ありがとう〟〝思い出してくれて〟

あの時の俺の声

俺は振り返らず、その場を後にした




12/6/2025, 3:56:21 PM

消えない灯り


比叡山延暦寺(滋賀県大津市):
天台宗の開祖である最澄が延暦寺を開いた際に灯した「不滅の法灯」は、1200年以上にわたり一度も消えたことがないとされています。

弥山・霊火堂(広島県廿日市市・宮島):
真言宗の開祖である弘法大師・空海が修行の際に灯したとされる火が、「消えずの火」として霊火堂で1200年以上燃え続けています。

しかし私は見た。Xの動画で。
いつかのオリンピックの聖火リレー。
ランナーが転けて、火が消えたように。
そのとき、傍らの警備員が、
私物であろうライターの火を、
何事もなかったように、
トーチに付けたのを。

まあ、ドンマイ!こんなこともあるさ〜

11/30/2025, 5:42:14 PM

君と紡ぐ物語


糸繰り からから

糸繰り歌 唄おう


糸(いと)や切(き)りりば 結(むす)びむなゆり

  (囃子)スラーヨーイヨーイ

縁(えん)ぬ切(き)りりば スラヤーヌヤー 結(むす)ばれぃゆむぃ

トコヤヌ スラヤーヌ バイドゥガ ジュイジュイ

大意:糸は切れたら結びなおすことができますが、人の縁が切れたら 結びなおすことはできません。

(奄美民謡『糸繰り節』)

あなたとわたし 撚り合って 紡がれて
螺旋の糸 ぐるぐる ぐるぐる

いつまでも いつまでも 途切れずに
遺伝子のなか 唄おう
あなたとわたしの物語

Next