Yushiki

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9/16/2023, 7:44:35 AM

 ねえ
 いま何してる?
 見てよこれ
 かわいいでしょ?

 次から次へと送られてくる君からのLINE。
 通知音が鳴るたびにドキドキして。
 返したら返したで既読がついたかどうか、ハラハラしながら見守る。

 心はこんなにも忙しなくて、大変なのに。
 やめたくないからやめ時がわからない。

 君からじゃあまた明日と。
 一言返してくれれば引けるのに。
 それがないのは。
 スマホの向こうにいる君も。
 僕と同じ気持ちなのかなと。
 そんな淡い期待をしてしまうから。

 幸せな焦りで。
 僕はまた。
 君へと返すメッセージを考える。



【君からのLINE】

9/15/2023, 4:40:20 AM

「特別だ。君にどの道がいいか選ばせてあげよう」

 目の前に佇む奇妙な男が不敵に笑う。

「のんびりと楽な生活のまま長生きできるけど、一生孤独な道。または険しく困難だけれども、誰からも賞賛されて名誉な地位を築ける短命な道。あとは金持ちになれるけど病気がちとか、貧乏だけど身体は丈夫っていう道もある」


 さあ、どうする?


 男の問い掛けに俺は「どちらでも」と、素っ気ない態度で答えた。
 男は「そんな適当でいいのかい?」と、心配もしてなさそうな声音で言う。


「選ぶのに意味なんてないだろ。いい道なんてどこにもありはしないんだから」


 生きてるうちはいつだって、何かと戦うもんなんだ。だから──。

「俺はただ俺の前に続く道を行くだけだ」

 命が燃え尽きる、その日まで。



【命が燃え尽きるまで】

9/14/2023, 5:27:05 AM

 誰もが寝静まった静かな時間。
 私はひとり窓辺に寄って、夜明けが来るのを待っている。

 闇色が明るい光に照らされて、色を変えるその瞬間。
 私は何だか胸に空いた寂しい気持ちが包み込まれたような、許されたような気持ちになるのだ。

 きっと地平線から上って降り注ぐ朝日だけは、生きとし生けるもの全てを平等に、照らして行ってくれるからかもしれない。



【夜明け前】

9/13/2023, 4:02:23 AM

 ああ、本当に馬鹿だなぁ。
 自分には絶対に届かなくなってから。
 あれが本気の恋だったんだと気付くなんて。

 涙が止めどなく落ちるほど。
 私の心がこぼれていくみたいで。

 それがまたどうしようもなく悲しいのに。

 貴方に出会わなかったら。
 今の私はないのでしょう。

 あんなに幸せな日々が。
 私にもあったのだと。
 誇れることもなかったのでしょう。



【本気の恋】

9/12/2023, 6:56:12 AM

 今月は祝日は何日あるのかな、とか。
 給料日まであと何日あるのかな、とか。
 そんな理由でしかじっと見ないカレンダーを、今月はちょっと違う気持ちで眺めている。

 赤い丸に囲われたその特別な日に、僕は一世一代の告白をする。
 何にも勝るその日が、早く来て欲しいような、来て欲しくないような。
 そんな曖昧さを抱えながら日にちを数える僕の手のひらには、指輪の入った小さな箱が開けられるのを今か今かと待っている。



【カレンダー】

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