Yushiki

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「特別だ。君にどの道がいいか選ばせてあげよう」

 目の前に佇む奇妙な男が不敵に笑う。

「のんびりと楽な生活のまま長生きできるけど、一生孤独な道。または険しく困難だけれども、誰からも賞賛されて名誉な地位を築ける短命な道。あとは金持ちになれるけど病気がちとか、貧乏だけど身体は丈夫っていう道もある」


 さあ、どうする?


 男の問い掛けに俺は「どちらでも」と、素っ気ない態度で答えた。
 男は「そんな適当でいいのかい?」と、心配もしてなさそうな声音で言う。


「選ぶのに意味なんてないだろ。いい道なんてどこにもありはしないんだから」


 生きてるうちはいつだって、何かと戦うもんなんだ。だから──。

「俺はただ俺の前に続く道を行くだけだ」

 命が燃え尽きる、その日まで。



【命が燃え尽きるまで】

9/15/2023, 4:40:20 AM