寂しいときには温もりを。
悲しいときには喜びを。
辛いときには励ましを。
落ち込むときには勇気を。
【あなたに届けたい】
世界でいちばん幸せになって欲しい君を
世界でいちばん幸せにするための権利を
僕にください
【I LOVE...】
私には帰りたい場所なんてない。
懐かしい光景も、浸りたい思い出も、何もない。
手に入れることができなかった。
そんな眩しいものは、弱い私には掴み難かった。
向かう先はもうどこでも良かったのだけれど。
雑多な存在が溢れる場所の方が、空虚な自身が紛れるかと思ったのだ。
だから私は。
こうして街へとやって来た。
【街へ】
走って、走って、走る。
そうすると、次なる走者が見えてくる。
握っていたバトンを突き出して、前方にいた走者へ託すと「ありがとう」という言葉が聞こえた。
「貴方が僕にくれた優しさを、今度は僕が誰かに託します」
そう言った次なる走者は、勢い良く走り出す。
誇らしさと感謝を胸に、私は遠離って行く背を見送った。
【優しさ】
チカチカしたネオンに照らされた夜の街を、酔いが回った足取りで闊歩する。
周囲は少々煩わしいほどに騒がしくて、けれど嫌いでないほどに馬鹿馬鹿しい。
そして流れる街中の空気は、昼間のものよりもどこかぬるくて艶っぽい。
「あーーーーーーーーーーっ!!!!」
そんなぬるい空気を一掃するような大声で、すれ違う人の迷惑も考えずにひとり叫ぶ。
「やってらんねぇーーーーーーーーっ!!」
お日様が降り注ぐ明るい時間帯にはちょっと憚れるような、口汚い言葉を吐き出して。
「ふざけんなよ、ばーーーーーーか!」
自分の醜さをこれでもかと曝け出す。
「くっそーー、ぜってー負けねぇ」
チッと舌打ち混じりに呟けば、ひそひそとこちらを覗うような視線が突き刺さる。
冷めた己が降りてきたことを、はっと自覚した。いそいそと背中を丸めて先を急ぐ。
ああ、やってしまった。そんなどうしようもない後悔を苦く味わいながら、そんなどうしようもない夜の真ん中を歩いて、明日に向かう決意を固めつつ。
【ミッドナイト】