作品No.257【2024/12/13 テーマ:愛を注いで】
愛を注いでつくりあげた
はずの自分の愛し子達でさえ
簡単に
あっけなく
粗末に
その命を扱ってしまうのだから
自分の中の〝愛〟なんて
きっとその程度のモノだ
作品No.256【2024/12/12 テーマ:心と心】
くっつきすぎれば鬱陶しく
離れすぎれば寂しくて
だから
あなたの心を求めてみたり
私の心を渡してみたり
するのだろうか
作品No.255【2024/12/11 テーマ:何でもないフリ】
何もない
何でもない
そんなふうにあなたといるけど
私の中には今もまだ
あなたに付けられた傷が
残って 疼いて
騒いでいる
だからね
これは
何でもないフリ
してるだけ
作品No.254【2024/12/10 テーマ:仲間】
「何してんだよ!」
ソウヤが、俺に向かって叫ぶ。俺は振り向いて、
「見りゃわかるだろ」
と、返答した。俺を見るソウヤの顔は、怒りと戸惑いに満ちていた。
「わかんねえから訊いてんだよ!」
「そうだよ、ミヤオくん! 何のつもりなの⁉︎」
数日前に怪我をしたソウヤに肩を貸しているカヤマの顔もやはり、戸惑いの表情だ。俺は、そんな二人に首を傾げる。
「ただ食事してるだけなんだけど……何かおかしいのか?」
「……お前、本気で言ってんのか?」
「ミヤオくん……本当に、どうしちゃったの?」
二人の顔に、また別の色が浮かぶ。それは、理解し難いモノを見るような表情だった。長年一緒にいたはずの俺に向ける表情ではない。
「ミヤオ、お前——今自分が何食べてるかわかってんのか?」
ソウヤが、言いながら腕を動かす。その腕は、細かく震えていた。
「〝それ〟——」
ソウヤの指が、震えながら俺の持っているモノを指し示す。
「キシじゃねえかよ……」
〝キシ〟が、イコール、俺達三人と行動を共にしている仲間の一人だと思い至り、俺は手に持ったそれを見下ろした。それは、目を見開いたままのキシの首だった。右頬だけが欠損している——まるで、何かに喰われたように。
「何で、仲間を食べてるんだよ……」
「キシさん——ミヤオくん、何で……?」
呆然とするソウヤとカヤマだが、正直俺も呆然としていた。
キシは確かに仲間——のはずだ。それを俺は、どうやら殺して喰っているらしい。〝何でこんなことをしたのか?〟なんて、俺が一番知りたいくらいだった。
だが、どこかで冷静な俺が告げている。その冷静な俺が、俺の体を乗っ取るように口を動かした。
「仲間だろうがなんだろうが——」
そうか、俺は——いや、〝俺だけ〟が違ったんだな。
俺は、〝仲間〟じゃなかったんだ。
「腹減ったら、喰うのは当たり前だろ?」
作品No.253【2024/12/09 テーマ:手を繋いで】
※半角丸括弧内はルビです。
あ、ねえねえ! 昨日はありがとね!
……え、「何のこと?」って——やだなー、恥ずかしいからってごまかさないでよ。
昨日、あたし、熱出して寝込んでたじゃん? ダルいし、苦しいしで、なかなか眠れなかったんだけど、きみが手を繋いでくれたら、不思議とスーッと眠りに入れたんだよ。
ほんっと! ありがとね! おかげさまで、全回復だよ!
……って、さっきから、反応悪くない? そんなに恥ずかしいことじゃないでしょ? あたし達が付き合ってて、お互いの部屋に泊まることもあるなんて、ここにいる人は大体知ってるし。
え? 「昨日は酔い潰れて、店から近所だった篠山(しのやま)の家に泊まった」? 「お見舞い行くつもりだったのに行けなくてごめん、何も連絡もできなくてごめん——って、謝るつもりだった」? 何、言ってんの? だって……ずっと手、繋いでくれてたじゃん。
じゃあ、アレは、あの〝手〟は——一体何だったの?