作品No.253【2024/12/09 テーマ:手を繋いで】
※半角丸括弧内はルビです。
あ、ねえねえ! 昨日はありがとね!
……え、「何のこと?」って——やだなー、恥ずかしいからってごまかさないでよ。
昨日、あたし、熱出して寝込んでたじゃん? ダルいし、苦しいしで、なかなか眠れなかったんだけど、きみが手を繋いでくれたら、不思議とスーッと眠りに入れたんだよ。
ほんっと! ありがとね! おかげさまで、全回復だよ!
……って、さっきから、反応悪くない? そんなに恥ずかしいことじゃないでしょ? あたし達が付き合ってて、お互いの部屋に泊まることもあるなんて、ここにいる人は大体知ってるし。
え? 「昨日は酔い潰れて、店から近所だった篠山(しのやま)の家に泊まった」? 「お見舞い行くつもりだったのに行けなくてごめん、何も連絡もできなくてごめん——って、謝るつもりだった」? 何、言ってんの? だって……ずっと手、繋いでくれてたじゃん。
じゃあ、アレは、あの〝手〟は——一体何だったの?
12/9/2024, 2:43:06 PM