帰燕[Kien]

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10/19/2024, 2:32:34 PM

作品No.202【2024/10/19 テーマ:すれ違い】


 思わず、振り返っていた。すれ違ったその人が、知り合いに似ていた気がしたから。
「こんな場所にいるはずないのに」
 呟いて、歩き出す。他人の空似なんて、よくある話だ。
 それなのに、何度も振り返ろうとしてしまう。追いかけて、声をかけたくなってしまう。それを抑えて、抑え付けて、歩を進めた。

10/18/2024, 2:31:38 PM

作品No.201【2024/10/18 テーマ:秋晴れ】


白く大きな入道雲から
小さな羊雲や鱗雲に変わった
ような気がする

この島にも確実に
〝秋〟が訪れているようだ

晴れよりも 雨の方が多いけれど

10/17/2024, 2:23:14 PM

作品No.200【2024/10/17 テーマ:忘れたくても忘れられない】


忘れたいことだらけだ

いやなことぜーんぶ
忘れたいのに

いやなことほど
ずっとここに残ってる

10/16/2024, 2:59:11 PM

作品No.199【2024/10/16 テーマ:やわらかな光】


 隣の部屋から、音が聴こえる。時計を見ると、午前二時ピッタリ。お隣さんの、いつもの日課だ。壁に背を預け、壁に耳を当てて、私はしばらくその音に耳を傾けることにする。
 優しいメロディーが、時折止まり、変化し、戻り、進み、を繰り返す。
 こうして作業をすることを、謝られたこともあった。でも私は、この時間が何よりも癒しだったから、そのまま続けてほしいとお願いした。
 今夜の曲は、ひたすら優しい。あたたかく、やわらかな光に、この身が包み込まれているようだ。
 目を閉じて、私はその音に身を委ねたのだった。

10/15/2024, 2:47:01 PM

作品No.198【2024/10/15 テーマ:鋭い眼差し】


 あなたのその、鋭い眼差しが苦手だ。だから私は、なるべく近づかないようにしていた。あなたから、逃げて逃げて、避け続けた。
 今なら、わかる。
 今だから、わかる。
 あの目を恐れ、あなたから逃げた私は愚か者だ。もう二度と戻らなくなってから気付くなんて、とんでもなく莫迦だ。
 もう二度と、あなたがその目で私を見ることはない。触れることもない。語りかけることもない。
 そうなってからやっと、あなたのあの眼差しが恋しくなるなんて。

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