作品No.132【2024/08/10 テーマ:終点】
特に目的もなく
バスに揺られて
たどり着いた終点
初めて見る場所
なのに
なんの感慨もわかない
また来た道を戻るだけ
作品No.131【2024/08/09 テーマ:上手くいかなくたっていい】
上手くいかないことばかり
何事にも不器用で
何をやっても上手くいかない
上手くいかなくたっていい
なんて
自分自身にかけたところで
ただのなぐさめ
ただの自己弁護
もう少し上手く
この世界を泳げたらいいのにね
作品No.130【2024/08/08 テーマ:蝶よ花よ】
蝶よ花よと、大切にされたこともあった。それさえも、遠い昔の話になってしまったけれど。
あの頃は、自分がこの世で一番美しいと信じていた。万人に愛されて当然だ——と。
でもそれは、ひと時の夢幻だった。
あの頃の私を知る人がなくなり、この世に残されて幾年月。色艶を失った身体だけが、私として存在している。
美しい私は、もういない。私を愛でてくれる人も、もういない。
いつまで、生きていればいいのだろう。失っていくばかりなのに、虚しいばかりなのに——いったい、いつまで。
作品No.129【2024/08/07 テーマ:最初から決まってた】
きっと最初から決まってたんだと思う。
私がこんな人間になることとか、そういう——〝人生〟とか〝運命〟みたいなモノ。
過去も現在も未来も全部、何かが最初っから決めてて、その台本の上を動き回ってる——みたいな。
そう思うことがある——というより、そう思う方が楽なんだと思う。
誰かの決めた筋書きの上で、与えられた役割のまま動く方が、自分で考えて動くより何倍も楽だから。
作品No.128【2024/08/06 テーマ:太陽】
※半角丸括弧内はルビです。
「なんで」
目の前には、もう動くことのない、彼の身体。私が、私だけが、非現実な世界にいるような、感覚がした。でもそれが、錯覚だってわかっていた。
これは、現実だ。いくら私が認めたくなくても、目の前のこれは紛れもなく本当で本物だ。
「なんで、あんたがこうなってんの」
彼の声が、頭の中で響いている。「夢蘭(ゆら)は、僕の太陽なんだ。いつも輝いてて、照らしてくれて、導いてくれるから」——そう、言っていた彼の声が。
「太陽——か」
頭(かぶり)を振って、私は笑ってみせた。現実逃避? それとも、彼に心配かけまいとしての行為? どちらも、違う。
これは——自嘲だ。
「あんたにとって、私が太陽だったみたいに」
私の中で、いつも輝いてて、照らしてくれて、導いてくれたのは——他ならぬ、あんただったよ。それはずっと、変わらないと、代えられないと、思っていたのに。
「私にとってあんたも、かけがえのない太陽だったよ」