帰燕[Kien]

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8/10/2024, 2:57:32 PM

作品No.132【2024/08/10 テーマ:終点】


特に目的もなく
バスに揺られて
たどり着いた終点

初めて見る場所
なのに
なんの感慨もわかない

また来た道を戻るだけ

8/9/2024, 2:17:32 PM

作品No.131【2024/08/09 テーマ:上手くいかなくたっていい】


上手くいかないことばかり

何事にも不器用で
何をやっても上手くいかない

上手くいかなくたっていい

なんて
自分自身にかけたところで
ただのなぐさめ
ただの自己弁護

もう少し上手く
この世界を泳げたらいいのにね

8/8/2024, 2:51:34 PM

作品No.130【2024/08/08 テーマ:蝶よ花よ】


 蝶よ花よと、大切にされたこともあった。それさえも、遠い昔の話になってしまったけれど。
 あの頃は、自分がこの世で一番美しいと信じていた。万人に愛されて当然だ——と。
 でもそれは、ひと時の夢幻だった。
 あの頃の私を知る人がなくなり、この世に残されて幾年月。色艶を失った身体だけが、私として存在している。
 美しい私は、もういない。私を愛でてくれる人も、もういない。
 いつまで、生きていればいいのだろう。失っていくばかりなのに、虚しいばかりなのに——いったい、いつまで。

8/7/2024, 2:22:34 PM

作品No.129【2024/08/07 テーマ:最初から決まってた】


 きっと最初から決まってたんだと思う。
 私がこんな人間になることとか、そういう——〝人生〟とか〝運命〟みたいなモノ。
 過去も現在も未来も全部、何かが最初っから決めてて、その台本の上を動き回ってる——みたいな。
 そう思うことがある——というより、そう思う方が楽なんだと思う。
 誰かの決めた筋書きの上で、与えられた役割のまま動く方が、自分で考えて動くより何倍も楽だから。

8/6/2024, 2:43:16 PM

作品No.128【2024/08/06 テーマ:太陽】

※半角丸括弧内はルビです。


「なんで」
 目の前には、もう動くことのない、彼の身体。私が、私だけが、非現実な世界にいるような、感覚がした。でもそれが、錯覚だってわかっていた。
 これは、現実だ。いくら私が認めたくなくても、目の前のこれは紛れもなく本当で本物だ。
「なんで、あんたがこうなってんの」
 彼の声が、頭の中で響いている。「夢蘭(ゆら)は、僕の太陽なんだ。いつも輝いてて、照らしてくれて、導いてくれるから」——そう、言っていた彼の声が。
「太陽——か」
 頭(かぶり)を振って、私は笑ってみせた。現実逃避? それとも、彼に心配かけまいとしての行為? どちらも、違う。
 これは——自嘲だ。
「あんたにとって、私が太陽だったみたいに」
 私の中で、いつも輝いてて、照らしてくれて、導いてくれたのは——他ならぬ、あんただったよ。それはずっと、変わらないと、代えられないと、思っていたのに。
「私にとってあんたも、かけがえのない太陽だったよ」

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