作品No.119【2024/07/28 テーマ:お祭り】
これがお祭りかぁ。
夜で暗いのに、提灯の明かりとか、人のざわめきとか、結構明るく感じるなぁ。それに、リンゴ飴とかたこ焼きとかおいしそうだし、ヨーヨー釣りとか金魚すくいは楽しそう!
いいなぁ。わたしも、お祭りっぽいことしたいなぁ。やっと来られたんだもん、目一杯楽しみたいよ。
でも、無理か。
わたしには、モノに触れることはできないし、そもそも、わたしを感じられる人なんてそういないだろうから。
結局、わたしには、お祭りを目一杯楽しむなんて、贅沢な願いなんだろうな。
作品No.118【2024/07/27 テーマ:神様が舞い降りてきて、こう言った。】
神様が舞い降りてきて、こう言った。
「お前の願いを一つだけ叶えてやろう」
「ちょうどよかった! そこ——ベッドに腰掛けて! 足組んで、尊大な感じでお願い!」
自称神様は、不可解そうな顔をしながらも従ってくれる。私は、それいけとばかり手を走らせた。
「ちょうどあなたみたいな見た目の彼を描きたかったの! 助かるわぁ。理想の彼を描けなくて困ってたのよねぇ」
「それは、よかった……?」
「いやー、イケメンってほんと最高だわー。手が進む進むー」
そこから、あっという間に頭に描いてた理想の彼が現れて、私はニンマリする。
「うん! 上出来! ありがとう、名も知らぬイケメン金髪自称神様!」
「自称ではないのだが……まぁよい」
自称神様は、立ち上がるとその姿を徐々に薄く溶かしていく。
「え、何何、どーいうこと⁉︎」
「お前の願い、確かに叶えたぞ」
そんな言葉を残して、自称神様は消えた。消えてしまうと、まるで今までが夢だったように思えて、不安になった。
「でも、これあるし、現実——なんだよね?」
私の机の上には、今抱えてる仕事——とある小説の挿絵に使う予定のイケメン金髪騎士の絵が、今までが現実だったことを表していた。
作品No.117【2024/07/26 テーマ:誰かのためになるならば】
私の生み出したモノ達が
誰かのためになるならば
もう少し足掻いてみよう
自分以外の何にもなれなくても
自分を切り貼りしても
それが
いつかの誰かに
何かを残してくれるのならば
作品No.116【2024/07/25 テーマ:鳥かご】
つーかまえた!
ほら、暴れないで。おとなしくしてよ。無駄に怪我したくないでしょ? ボクだって、傷付けたいわけじゃないしさ。
ボクはただ、ずーっときみを近くで見たいだけなんだよ。
いや、そんな生優しい言葉じゃ足りないな。はっきり言った方が、きっとボクの気持ちが伝わるよね。
ボクはね、きみのことを独占したいんだよ。
ボク以外の誰にも、キミのこと、見られたくないし、触れられたくないんだよ。
だからね、きみをボクの傍に置き続けるために、この鳥籠をつくったんだ。つまりこれは、キミのための、キミだけの、鳥籠なんだよ。
それなのに、何が不満なの? こんなにすてきな鳥籠、どこをさがしてもないっていうのに。
……泣かないでよ。でも、ごめん。泣き顔もかわいいって思っちゃうな。
もう逃げないでね。ずっとボクだけのきみでいてね。
作品No.115【2024/07/24 テーマ:友情】
友情なんてなかったよ
あんたのことなんて
保育園に通ってたときから
ほんとは嫌いだったんだから
一人乗りのブランコ
隣が空いてても
私が乗ったばかりでも
催促してきたよね
五年の空白をあけてひさしぶりに
同じ空間で過ごすことになった
あの頃だって そう
あんたと話してたのだって
お互いに話しやすい人がいなかった
きっと それだけのことなんだよ
あんたが立候補した所為で
運動会のエイサーのチョンダラー決め
ひっどい空気になったの
わかってる?
空気読むの苦手な私が
珍しく空気読んだんだから
ほんと感謝してほしいくらい
お笑い芸人のギャグやるとこも
私の家までついてくるとこも
帰宅を促しても帰らないとこも
あんたといるのが
ほんとにいやだった
あんたとセット扱いしてくる
周りの人間はもっといやだった
それ以上に
あんたのこと思い出してしまう
私はもっともっといやだ
縁を繋ぎ直して
五年連続同じ空間で過ごした
学生時代
その縁が消えかけた
今ならわかるよ
あのとき
縁を繋ぎ直さなきゃよかったんだね
こんなにもどす黒い感情
持ち続けたくなんてなかったよ