帰燕[Kien]

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作品No.118【2024/07/27 テーマ:神様が舞い降りてきて、こう言った。】


 神様が舞い降りてきて、こう言った。
「お前の願いを一つだけ叶えてやろう」
「ちょうどよかった! そこ——ベッドに腰掛けて!  足組んで、尊大な感じでお願い!」
 自称神様は、不可解そうな顔をしながらも従ってくれる。私は、それいけとばかり手を走らせた。
「ちょうどあなたみたいな見た目の彼を描きたかったの! 助かるわぁ。理想の彼を描けなくて困ってたのよねぇ」
「それは、よかった……?」
「いやー、イケメンってほんと最高だわー。手が進む進むー」
 そこから、あっという間に頭に描いてた理想の彼が現れて、私はニンマリする。
「うん! 上出来! ありがとう、名も知らぬイケメン金髪自称神様!」
「自称ではないのだが……まぁよい」
 自称神様は、立ち上がるとその姿を徐々に薄く溶かしていく。
「え、何何、どーいうこと⁉︎」
「お前の願い、確かに叶えたぞ」
 そんな言葉を残して、自称神様は消えた。消えてしまうと、まるで今までが夢だったように思えて、不安になった。
「でも、これあるし、現実——なんだよね?」
 私の机の上には、今抱えてる仕事——とある小説の挿絵に使う予定のイケメン金髪騎士の絵が、今までが現実だったことを表していた。

7/27/2024, 2:59:08 PM