帰燕[Kien]

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7/11/2024, 2:20:05 PM

作品No.102【2024/07/11 テーマ:1件のLINE】


 赤いバッジは、未読メッセージがあるという表示だ。〝1〟を表示したまま、アプリアイコンの右上に鎮座している。私はずっと、その一件のメッセージを読めていない。
 それは、今も同じ職場でそれなりに頼りにしている先輩からの謝罪メッセージなのだけれど、私はずっとそれを開いていない。だからずっと、そのバッジは付いたままだ。もう、五年くらいになるのだろうか。
 ここまで来たらもう、読まなくても構わないかと、開かなくてもいいかと、そう思っている。何よりも、あの一連の出来事を思い出したくないのだから。
 これからもきっと、赤いバッジの〝1〟は、そこに居続けるのだろう。

7/10/2024, 2:49:58 PM

作品No.101【2024/07/10 テーマ:目が覚めると】


 目が覚めると、なんてことはない、いつもどおりの朝だった。目が覚めてしまったことを、後悔するくらいの、眩しい朝だ。
 何かいい夢を見ていた気がする。明るくはない夢だったとは思うが、それでもそれは私にとっていい夢だった。それこそ、一作品書き上げられそうな、創作意欲を搔き立てる夢だった——と、思う。
 目覚めてしまった今、それがどんなモノだったかすら、思い出せなくなってしまった。本当に、なぜ目覚めてしまったのだろう。
 思い出せなければ、忘れてしまえば、もうこの世に残す術はないじゃないか。
 目が覚めるのは嬉しいけれど。こればっかりは、悔しくて仕方ない。

7/9/2024, 2:50:36 PM

作品No.100【2024/07/09 テーマ:私の当たり前】


 私、自分の本名がすきなんですよ。
 漢字もそうなんですけど、なにより、そこに込められた意味がすきで。画数が多めなのが難点ではありますが、それくらいですきな気持ちが無くなりはしません。唯一無二、自分にしかないモノだと思っているから、大切にしたい気持ちが人一倍強いのかもしれません。
 まあ、だからなんだといいますと。
 それだけ、自分の名前を間違えられると腹が立つんです。部首が違うとか、漢字自体違うとか、果てはそもそも違う名前になっているとか——この約三十年、そういうことはよくありましてね。
 学生時代——それこそ、大学生までは、苛立ちを含ませて指摘してました。だって、失礼じゃないですか、名前間違えるのって。日本には、ひらがなやカタカナもありますし、わからないなら——というか、間違えるくらいなら——無理に漢字で書くなと、思うわけです。
 それで結果どうなったか。
 「こっわ」、「そこまで言うことないじゃん」——そのようなことを言われました。
 は? 間違えたことに謝罪はねえのか?——そう思いましたよ。他人様の名前間違えといて、なんで間違えられた方が悪役みたいになっているのか、意味がわからなかった。でもそれを言葉にするには、私はその人達とあまり仲良くなかったし、なにより臆病すぎました。
 これがきっかけなのか、それ以来、名前を間違えられることに対してある種の諦めがつきました。指摘することは、ほぼしなくなりました。
 それでも、私の根っこは変わりません。
 私は自分の名前がだいすきです。それだけは自信をもっていえます。だからこそ、そんな名前を間違えることは失礼だと思います。

7/8/2024, 2:44:21 PM

作品No.99【2024/07/08 テーマ:街の明かり】


 夜が、目を覚ます。
 人も疎らな昼間に比べると、この街は夜の方が賑やかだ。
 店内も、看板も、煌々と明かりを灯して、騒がしさが耳を掠める。
 明かりは、平穏をくれるモノだと思っていた。でも、ここの明かりは、不安を煽る。
 それは、ここら一帯の治安をよく思っていないからか、それとも、近くにアレがあるからか。
 早く帰らなければと、急く心を抱えて、歩き続けた。 

7/7/2024, 2:47:53 PM

作品No.98【2024/07/07 テーマ:七夕】


今年は
というか
今年も

同じことを願いました

ここ数年の私は
同じことを願っています

【自分自身で愛せる作品を書けますように】

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