世界のおわり

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1/16/2026, 3:03:04 AM

《この世界は》
この世界は不公平だ。
明日を望む君に明日は来ないのに、明日を望まない僕に明日は来る。
君との約束で許容することができた明日を、僕はもう迎えられない。
明日を誰よりも望む君に明日は来ないなら、僕が君の身代わりとなり明日を君にもたらそう。
そう言っても「そんな明日はいらない」と君は言う。
君のいない明日なんて僕は望まないから、追いかけようと思うのに。
君は僕に呪いをかけて、追いかけられないようにした。
僕はいつも、今日こそ君の元へ行けますようにと祈りながら日々を過ごしている。
君が誰よりしあわせだと証明しなければならない。
そう思って色々な人と関わりを持って生きていってしあわせの中で死ぬのだ。




「俺の分まで幸せにならなきゃ駄目だよ」

1/15/2026, 8:33:52 AM

《どうして》
気がついた時には全てが遅かった。
どうして、僕は君を信じることができなかったのだろうか。
どうして、どうして。
どれだけifを考えても、血に染まった君はもう僕の名前を呼んでくれはくれない。
僕の涙を拭ってくれない。


最後に一回でもいいから、ちゃんと素直になって、君に好きだと言いたかった。








今までやってきたことが信じられない程、幸福な最期だった。
もう後悔も何もないけれど。
もし一つだけ、僅かに心残りがあるとすれば、意外と泣き虫だった君の涙を最期に拭ってあげられなかったことだ。

1/14/2026, 9:43:16 AM

《夢を見ていたい》
今日もしあわせな一日が始まる。
朝起きて朝食の準備をしていると、お前がのんびりと起きてくる。
その様子をみるに今日は悪夢をみなかったらしい。
悪夢をみたときのお前は足音を荒く、1秒でも早く僕を確認しようと部屋に飛び込んでくるのだから。
「しあわせだな」
そう言いつつ、身長が少し低いお前は背伸びして俺の肩に顔を埋めた。
「お前はいつもそれだね」
そうお前の腕を優しく撫でると、更に力が強まった。  
「当たり前だろ‼︎」
いつものようにそこからいかに今がしあわせなのかという長いお前の話が始まる。
まるで口説いているようなそれに最初は照れていたものの、今ではすっかり聞き流せるようになった。
そんな僕の様子に気が付かずに熱弁を振るうお前の顔はいつもとても嬉しそうで。
だから決まって僕も「君と一緒だから楽しいよ」と言うお前の言葉に同意を返す。
するとお前は顔を少し赤らめて黙るのだ。
そしてそのまま頭を僕の肩に擦り付ける。
「まぁ、どうしても夕飯のシチューをご飯に掛けるのは理解出来ないねー」
そうお決まりのように返すと、口を少し尖らせて拗ねたように僕の肩に置いた顎を軽くぐりぐりと動かす。
それが僕は擽ったくて。
止めろと頭を撫でると、ご機嫌になる。
正直それに味を占められている気がしないでもない。
そんな何でもない日をいつまでも過ごせることを祈っている。



男は毎晩祈っている。
自分の罪が永遠に赦されることはないことはわかっている。
だが、どうか、どうかまだこの優しい夢を見させて欲しいと。
このぬるま湯に浸からせて欲しいと。
明日もまた君としあわせな一日を過ごせることを。
切に祈っている。

1/12/2026, 11:53:28 AM

《ずっとこのまま》
 
明日には変わってしまうから。
今この時だけは、何も知らない振りをして。
ずっとこのまま一緒に居られると信じさせて欲しい。

1/7/2026, 7:17:26 AM

《君と一緒に》
「貴方は雪城という男をご存知ですか」
そう突然声を掛けられた。
私はその人を知らなかったので、いいえ。と答えたのだが。
その時不思議と感じた懐かしさと、問いかけた人の一瞬歪んだように見えた顔を、何の意味をもたないこの出来事を、私は忘れられずにいる。




一つだけ頼みがある。
とある男《ヒーロー》に男が今から命を奪う男《ヴィラン》がそう言った。
「どうか俺の宝物のしあわせを願ってやってくれ」
男《ヒーロー》は当然断ろうと思った。
今まで散々こちら側のしあわせを踏みにじっておいて、そんな虫のいい話はあるものか、と怒りさえ感じた。
だが、男《ヴィラン》の所業を思い出すうちに、ふと既視感を覚えた。
そして、気がついた。
この男《ヴィラン》と自分は傍からみれば変わらないことを犯してきたということに。
自分にはこの男を罵る資格などなかった。
このことに気がついた衝撃により、しばらく男は何も話せなかった。
が、男《ヴィラン》が聴覚を失う寸前で辛うじて「わかった」と返すことが出来た。
男《ヴィラン》は承諾されたことに目を僅かに動かし、
さっきより柔らかい顔で動かなくなった。
男《ヒーロー》は男《ヴィラン》が事切れた後に、紙を握りしめていることに気がついた。
その紙は、写真だった。二人のありふれた日常でしあわせそうに頬を寄せ合い笑う男女が写っていた。
片方の男は今目の前で自分が命を奪った男だ。
別人と見間違える程に、柔らかな表情をしている。
とてもしあわせそうだった。
もう片方の女は、男《ヒーロー》には見覚えがなかった。
平凡でありふれたような柔らかな雰囲気の落ち着いた様子の女だった。
男《ヒーロー》は、今からこの女を地獄に落とすのだ。


写真の裏に、わすれてくれ、という乱雑な字が書いてあった。
これが願いを叶えることなのだろう、と直感が告げていた。
そして男《ヒーロー》にはその願いを成し遂げる術があった。
男《ヒーロー》は、約束は守る男であったので、どれだけやるせなくても、叫び出しそうになっても、やり遂げることにした。
でも、あまりにも写真がしあわせそうだったから。
それを丸ごと揉み消すことが出来る程、男《ヒーロー》は大人ではなかったので、女に写真を見せて話しかけた。
「俺、この男を探しているんですけど、ご存知ですか?これは、貴女のように見えるのですが」
突然話しかけた不審な男にも関わらず、女は応じてくれた。
女は語る。
男《ヒーロー》が知るはずもない一面を。
女にとって男《ヴィラン》こそがヒーローだった。
女が語る優しい思い出の中の男《ヴィラン》は正義感がつよくて、誰にでも優しくて、まるで貴方みたいな男だと、そう言った。
男《ヴィラン》は突然消えたらしい。
あいしてると一言残して。
女はずっと待っているらしい。
同じ写真をロケットペンダントにして持っていた。
「名前も教えてくれなかったし、私も教えなかった。
それでも、私たちはしあわせなの。」
そうロケットペンダントを握り微笑む女に、男《ヒーロー》は何も言えずに、「素敵な方だったんですね」とだけ言った。
その言い方に、女は息を詰める。
男《ヒーロー》は失言を悟った。
女は涙を流してただ一言。
「あの人の名前を教えてくれませんか」


男《ヒーロー》は、深夜零時にこの世界から一人の男女のしあわせな一時を消し去ることにした。

このしあわせな日々の欠片を知っているのはとある一人の男だけ。




「あなたとずっと一緒にいられるならば他に何もいらなかったのに」

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