朝6時
私がいつも起きる時間。
その後はご飯食べて、着替えて髪を巻いて
時間があまったらゆっくりする。
これが私のいつも。
「行ってきます」
誰もいない家の中に向かって言った。
返ってくることはないけど毎日言う。
「おはよう!」
友達が挨拶してきた。
これもいつも。
「おはよう〜」
それに返すのもいつも。
「そうだ、今日テストあるよ、」
「うわっ、そうじゃん。」
何気ない会話が1番幸せな時間。
でも、”いつも”が毎日くるとは限らない。
「ねえ!あの人かっこよくない!?」
友達がそう言い、横断歩道の途中で止まった、
「ちょっと!ここで止まらないで行くよ!」
私がそう言っても、友達は
「待って!あの人見てよ〜!かっこいいよね!」
そう言うだけ。
「も〜、どの人?」
私は呆れて見るだけ見てみた。
「あの人〜!」
「そうだね、かっこいいね、」
「あっ、思ってないでしょ!」
「いいから行くよ!」
私がそう言った途端、
ドンッ!
鈍い音が聞こえた、
それと同時に人々の悲鳴が聞こえた。
私は周りを見渡すと隣にいたはずの友達がいなくなってた。
「えっ、」
反対方向を見ると友達は頭から血を流し倒れていた。
「嘘っ、、」
友達は車に跳ねられた、
その後、友達は運ばれ一命を取り留めたが後遺症が残り歩くことが出来なくなった。
私がこれを受けて皆に伝えたいことは、
1日1日の日常を大切にして欲しい。
同じように感じる毎日だけれど、本当は少し違って同じ日なんてないこと。
友達と一緒に登校して何気ない会話をする毎日も当たり前だと思わないで。
いつかその”いつも”が奪われてしまうから。
私は、友達が事故にあってから1人で登校するようになった。
変わってから気づくの、
あ、戻りたいなって。
fin
貴方はこう言ってたよね、
「俺の好きな色?え〜、考えたことないけどな…」
友達に聞かれて悩む君。
しばらく考えた後貴方が言った答えは、
「コーラルピンクかな、」
えっ?
聞いてた誰もが口に出した。
「何それ、普通のピンクで良くない?」
「ちゃんと意味があるんだよ〜」
「どんな意味だよ、」
私は読んでいた本から目線を外し、耳を傾けた。
「意味はね、」
「可愛い、優しい、明るいだよ。」
あなたから可愛いって単語出てくるなんてびっくりした
それは、友達も一緒みたいで、
「へー、そんな意味あるんだ。
お前がそういうなんて珍しいな。」
「そうか?」
「うん、さては好きな人でも出来たか?笑」
「違うよ、笑」
「俺が好きになる人もこういう人が良いなってだけ」
貴方が好きになる人はとても素敵な人なんだろうな、
「なんだよそれ、笑」
「はいはい!この話はおしまい!」
照れながらそう言った。
照れてる顔が見たくて、貴方の方を向いたら、
「ッ!?」
目が合ってしまった。
「おい、どうした?」
友達に話しかけられても、貴方はずっと私を見ている。
だから、私もずっと貴方を見た。
「うん、いや何でもないんだ。」
「ただ、好きな人を見つけただけ。」
私の顔を見ながら言った。
「えっ、」
つい声が出てしまった。
「はあ!?」
友達はさらに大きい声で聞き返していた。
「好きな人って、誰だよ!」
聞かれた貴方は私を見ながら、
「ずっと俺の事を見ててくれる人。」
貴方の好きな色、コーラルピンクにふさわしい女になるから、私を見ていて。
fin
バーン
ピストルの音が会場に響いた。
その瞬間観客たちは1つの種目に目を向ける。
その時だけ、観客を独り占め出来るんだ。
私はその時、1番興奮する。
「はあ、」
「ため息なんかついてどうしたの?」
そう声をかけてきたのは、幼なじみでもあり私の彼氏。
「緊張するのか?」
「うん、」
「大丈夫だよ、さっきのウォーミングアップも良い調子に感じたよ、」
「うん、」
「まあ、そりゃあ緊張するわな、」
「全国はすげえよ、」
「貴方も出たじゃない、笑」
「おっ、やっと笑った!」
「えっ?」
「いや、今日お前ずっと暗い顔してたよ、」
「ほんと?」
「うん、あ〜緊張してるんだなって不安なんだろうなって手に取るように分かったよ。」
「わあ、私の全部分かっちゃうんだな〜笑」
「当たり前だろ、俺はお前の彼氏。」
「あっ、忘れてた、笑」
「おい、笑」
「おーい!そろそろ集合の時間だぞ〜!」
「はーい」
先生の声がさらに私を緊張させる。
「…」
「ねえ、」
「うん?」
振り返った途端、彼氏の腕に包まれた。
「お前なら大丈夫だから。自分を信じて俺を信じて走ることだけに集中しろ。」
「うん、ありがとう。」
「いけるか?」
「うん、あっやっぱりあと少しだけ充電させて。」
「分かった。」
私がそう言うと何も言わずに離さないでいてくれた。
「うん、もう大丈夫。」
「おう。行ってきな。」
「うん、行ってきます!」
「行ってらっしゃい!」
そして、私はスタートの位置に着いた。
この時間は1番緊張する時間でもあるが、
観客の目線を独り占めできるから嬉しい気持ちもある。
「私ならできる。」
そう小さい声で言って、目線を下に下げる。
セット
そう声が聞こえ腰をあげる。
バーン!
そして私は走り出した。
ありがとう、貴方がいてくれたから私は
走り抜くことが出来たよ、
fin
朝の情報番組。
毎日見てるから、天気予報が何時に流れるとかもう分かってる。
だけど、この日は少しバタバタしてた。
「あっ!天気予報見るの忘れた!」
たまたま見るのを忘れてしまった。
「まあ、今晴れてるなら晴れるっしょ!」
今はものすごく晴れている。
ここから雨とか考えられないくらいの天気だった。
キーンコーンカーンコーン
「えっ!?雨降ってる!?」
「どうしたの〜?」
「なんで雨降ってるの。」
「天気予報見なかったの?」
「うん、今日はバタバタしてたし朝めっちゃ晴れてたじゃん。」
「夕方から雨降るって言ってたよ、」
「もう、見てない日に限って雨とか…」
「ねえ、傘貸して〜」
「ごめん!今日1つしか持ってきてない。」
「そっか、それなら仕方ない。」
「ごめんね、」
「ううん、気にしないで。」
「じゃあまたね!」
「うん!また明日〜!」
「うわ〜、どうしよう。止む気配ないじゃん。」
もう18時だし今から迎えもな〜
「はあ、走るしかないか。」
意を決して走ろうとした時。
「あれ、傘忘れた感じ?」
「えっ?」
そこに居たのは、私の好きな人だった。
「ふっ、傘忘れるとかどこまで馬鹿なんだよ、笑」
「仕方ないじゃん!天気予報見るの忘れたんだから、」
「どうすんの?これ夜まで止まないよ?」
「ん〜、走るしかないかなって。」
「馬鹿か。」
「はあ?」
「風邪ひくぞ。」
「じゃあ、どうすればいいのよ、友達も帰っちゃったし、今から迎えも迷惑じゃん?」
「いやいや、ここにいるじゃん。」
「うん?」
「だから、助け舟がここにいるじゃんって。」
「えっ、どこ?」
周りを見渡してもいるのは、私と好きな人だけ。
「はあ、どんだけ馬鹿なんだよ、」
「えっ?」
「だから、俺って言ってんじゃん!」
そう言うと貴方は顔を真っ赤にした。
「っ…」
つられて私も照れてしまった。
「どうすんの、入るの?」
照れながら言う貴方はとても可愛かった。
「う〜ん、」
「もう悩んでるなら入れよ。」
そう言って、私の腕を引っ張って傘に入れられた。
「行くぞ、」
「うん、」
この日の帰り道は、いつも以上に長く感じた。
たまに触れる貴方の手は少し肌寒いのに暖かかった。
これは、照れてるから?
私、期待してもいい?
fin