終わりにしようと彼氏に言われたのが、確か午前11時ちょうどくらいで、彼の人生が終わったのが午前11時8分。彼の遺体をダッフルバッグに詰め終わったのが午前12時過ぎごろ。彼の好きだった焼肉屋で一緒に昼食を取り終えたのが午後1時40分。市内で一番大きな橋に着き終えたのが二時半といったところで、私の人生が終わるのがたぶんいまから3秒後、つまりは午後1時42分35秒前後。そして今日7月15日が終わるのは、おそらく午後の12時00分。
特別な存在だ。容姿端麗頭脳明晰、誰よりも優れていて、国民の嫉妬を一身に受けている。そして巨大。体中に空けられた穴と棒。全ては可食部である。人々は鬱憤ばらしに石を投げ、悶々としたならセックスに走り、腹がへればどこまでも食う。住民の誰もがこの妬ましい女神を嫌っている。嫌っているから、団結する。(Unite)憎悪による精神の束縛は数分の行為で晴らされ、団結したまま自由を勝ち取る。(freedom)自由を享受する女神は笑ってレイプされる。
すでに腰からは下は無くなっている。彼女の背丈はこの国家の寿命を表しているものの、ひとまずそれが、現在地球で唯一アメリカ合衆国が形を保って存在できている理由である。
逆行に刺されたため、手っ取り早くフラッシュに介錯を頼んだ。そうして出来た私の死体はゴミ箱へ直行した。
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逆光でものが見えにくいその数秒のことでしたな。34人が殺された。今日はものすごい太陽が眩しい、人が死んでいる、地中海あたりの植生、突如始まったミステリーを通りすがりの探偵、では残念ながらないフリーターの俺は厄介事に巻き込まれたくないので、犯人は逆光のせい、否、太陽のせいであると決めつけて右に流した。いよいよムルソーが飛び出してきそうなのだが僕は死んだも同然の人間だから迷わず突き進めばOK。線路は続くよどこ吹く風、だ。
もしもムルソーが出てきたらカミ(ュ)殺せばいいし。
賞金が入るか、それともただの殺人犯となるか、いやただの殺人犯どころか大量殺人犯となるかもしれんな。
ほれ逆光がきた!目がぁ!僕は目を瞑って歩き出した。
34個の死体の間をするりするりとかいくぐっていく。
今思い出したがそのうち3人は俺が殺していた。
こんな夢を見た。
眠りに落ちた瞬間、起きて、私の普通の一日が始まった。
学校に行き部活に行って帰って、そろそろ寝ようかという頃合い。結局そこで寝て、その夢はちゃんと夢っぽかった。
そう、起きて寝て夢を見るまでの一連の流れが
完全に現実の夢を見たのだ。
おそらくこの日からだった。裏表裏表裏表と十数年規則正しくきていた夢と現実の反復が、裏表裏裏表裏…と逆転したのは。まぁ私からしたら特に支障はないし、体内時計の調整だったんだろうということにしている。
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こんな夢を見た。
その夢では私も、周りの誰もかもが、夢であることを認知している。
その上で私の起こってほしいような展開が始まる。
夕食が全て好物。好きな人と何故か付き合ってる。
月半ばにて謎の小遣い。その度に舞い上がる私であったが、ここでいつも水を差す一言を彼らが言う。
「夢でわるいけどどんどん食べてー」
「好きだよ。あぁ、夢醒めたあとの事だけど、今日国語小テストあったよね。」
「いいのいいの気にしないで。現実でいつも酷いことしてるからさ。でもそろそろ、夢から醒めたらどう?」
なんでそんなぶち壊すこと言うんだ。もういいもん。
そうして私は目を醒ましたのだがまだ深夜らしく、もうあいつらに会う気は無いので起きていようとジュースを取りに行ったら、母親が寝室から怒鳴ってきた。
「何してんのようるっさいわねぇ。寝なさいよ!」
タイムマシーンだって時間がかかるものだと知っているか?ひとっ飛びなんて言うが、流石に数億年単位だとワープ空間での時間も馬鹿にならない。
その場所でも時間が、過ぎることは自明である。
当たり前だ。例えばその場所に入って知識をつけまくって戻って知識無双なんて不公平であろう。
意識と時間経過、それを両立させることは出来ないのだ。
ワープ空間と実際の私の体は密接につながっている。
だから現実でタイムマシーンに乗った者がその瞬間とても老いているなんてよくある話だ。
さて、私たちの研究隊は70億年前にタイムリープ中なのだが、こうも大規模だとワープ自体に100年かかる。それでものもの凄い圧縮率である。計算して見てほしい。
そして私は2年目にワープ空間で生まれた。
今までワープ空間を出たことは無い。そして寿命は長くても90だから、わたしは一生出れずに終わる。そうなると私の使命は、子供をつくるということだけだ。
科学者というのは聡明である必要があるが、親の努力は遺伝しないってのがあるので、俺は親の明晰な頭脳の遺伝子の中継役に過ぎない。だから俺は生殖可能な年までは子供を作り続けて、そんな体力もないくらい歳をとったら、殺されてワープ空間から適当な時間に放り出される。
まぁ俺も毎日そうならないための努力をしているがどうも最近女を見ても…
だって有限の容積の宇宙船で、なるべく科学者の卵がいた方がいいのだ。中継地点の俺は要らないからな。
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おい!あいつを呼べ!
博物館で展示中のタイムマシーンが忽然と消えた。
そしてなんと、管理役ごと消えてしまった!
どうするよ!あいつに任せるんじゃなかった!あいつ昨日
時間玉手箱も無くしやがってついに大目玉のタイムマシーンもかよ!
もう未来展開催できないじゃん!
23年後の流行りお菓子で満足すると思うか!?あーもうおしまいじゃん!どうにでもなれじゃん!
博物館責任者は前日までやけ酒をし続けた。博物館の存亡を掛けた一大プロジェクトだったのだ。
もう俺も終わりだと永遠と繰り返しては飲んでいた。
そのとき博物館から電話がかかってきた?
あぁ?なんだよお前ら!いいよな、お前らは。いいよお前らの分も俺が被ってやるから。その代わり俺が路上にいたら酒くらい、
ちょっと待ってください。
タイムマシーンが戻ってきたんです!あいつと一緒に。
え?
わたしは交通に関するあらゆる法律を破り散らかして飛ばした。
博物館に着くと、あいつがみんなにヘコヘコ頭を下げていた。あいつの背中にはタイムマシーンがあった!
俺は安堵でいっぱいだったし正直あいつを抱きしめたかったが、威厳というのがあるので毅然とした態度で問いただした。
何をしていた?
迷惑かけてすみません、手紙くらい残せば良かったです。なにせ焦っていたもので、、すみません。
で、何しに行ったんだよ。
過去に戻って時間玉手箱取り戻してきました。だとしても取り返しただけであって最初から何かが増えた訳では無いと思いまして、迷惑かけておいて手ぶらじゃ帰れんと思ったもんですから、未来に飛んでこの博物館にいき、未来のあなたと交渉してクロノストーンを頂戴しました。あなたは君のおかげで今の私がいる、ぜひ持って言ってくれとか言って快く下さいました。
そう言うと奴は時間玉手箱とクロノストーンを差し出した。
わたしは思いっきり抱きしめた。
これは余談だが、管理役は未来の俺から俺宛に数十万を貰っていた。私は君へのお礼だろうといって受け取らなかったが、あとから来た警察に罰金として徴収された。