きづめ

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9/6/2024, 10:15:15 PM

「やめ」

終わりの時を告げる先生の声。また、できなかった。わたしのテスト用紙のいくつもの空欄。
みんなのテスト用紙を回収する。よくないと思いつつもみんなのテスト用紙を確認してしまう。割と空欄がない人が多くて気分が悪くなる。
わたしたちに与えられているのは同じ時間なのに。
そうやってわたしだけなんにもできないまま、平等に終わりの時が告げられる。

9/3/2024, 9:34:19 PM

些細なことでも
私に教えてね

と言ってくれたあの人

その言葉通りわたしは
あの人にたくさん報告した

あの人がわたしの話を聞いてくれるとき
守られていると感じた

今も
なるべくたくさんのことを
あの人のお墓のまえで話す

もう守ってくれることはないのに

9/1/2024, 4:39:45 AM

不完全な僕。
決して100に辿り着くことができない。
あと2、3、が、足りない。
あとたったそれだけなのに、手を伸ばせば指先がかすかに触れるのに、決して掴めない。
僕が100を欲する理由。
一切欠けたところがなく晴れ渡った頂上。
さぞかし気持ちが良いのだろう。強烈な憧れを抱く。
だから、99の輝かしさにわずかに存在する曇りが全てのように思えてしまう。
ほとんどができてもそのかすかな曇りがあれば、それは不完全な僕だ。

その先に、僕は望みつづけている……
完全な僕を。

8/28/2024, 11:10:24 AM

突然の君の訪問。
とか、ないかなぁーーー
って、毎日思ってる。

会いたい人。
お前が会いに行けばいいじゃないかだって?
僕は行動的じゃないから無理です。

憧れの人。
僕の何百倍も行動的で明るくて、魅力的な人。
当然友達が多い。

僕にとっては、大切な記憶の中の人。
僕はその人の友達の中の一人だけど
その人から必要とされたことはない。
でも僕は
その人の気遣いに救われてきた。

僕のことは
もう忘れちゃったかもね。
それでもやっぱり僕は
突然の君の訪問を望んでいる。

8/28/2024, 12:14:24 AM

雨に佇む

折り畳み傘を差して、バスを待っていた。
土砂降りの轟々という音に聴覚が支配される。こんなに酷くなるとは思わなかった。折り畳み傘では小さく、私のカバンはあっという間に濡れて重くなった。中身は仕事の資料だ。ますます憂鬱な気分になる。

小学校低学年くらいの小さな女の子が私の隣に並んできた。激しい雨でぼやけてよく見えないが、隣といっても少し距離を空けている。ふとその子が近づいた気配がし、声が聞こえた。

「このバスで茶池に行けますか?」
「え?あ、すみません、分からないです。」
「ありがとうございます。」

しっかりした話し方に驚いた。はっとした。そういえば、なんでこんなにはっきりとお互い声が聞こえたのだろう、雨の凄まじい音の中で……。それに、あの子傘を差していただろうか?差していなかったように見えた。それなら合羽を着ていたのだろう。あの子は雨の中で平然と佇んでいたように見えたから。なんとなく意識してしまってあの子の方を向けなかった。バスがなかなか来ない。

「土砂降りですね。」
「ええ。」

また、あの子が話しかけてきた。答える時に何気なくあの子の方をちらりと見た。目を疑った。本当に合羽を着ていなかった。質問が口をついて出た。

「雨、好きですか?」
「はい。雨の日しか、お出かけできないので。」
「そう…ですか。」

雨の日しかお出かけできない?ますます謎が深まる。不気味さより好奇心が勝り何か会話したいと思ったその時。雨の中に、ぼんやりとバスの姿が浮かび上がった。輪郭のぼやけた2本の光を発しながらこちらに近づく。私はバスに乗ったが、あの子は行き先を確認して違ったのか乗らなかった。
座席に座って暗いバス停にあの子の姿を探したが、もう見当たらなかった。ふと、魚なんじゃないか。なんて思った。魚が水の中で会話できるという話を聞いたことがある。だとしたらバスに乗るというのは自殺行為だ。水がないから。水を一定時間溜めておける生物……河童?いやまさか、でも…。我にかえった。そんなことを考える自分が滑稽だった。
まだあの子の正体が気になっていた。確か目的地は茶池と言っていた。今度出かけてみようか、雨の日に。

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