目を閉じた
すると音が鮮明に聞こえ始める
川のせせらぎ
風の揺らぎ
木々の葉
蝉の声
遠くで聞こえるは飛行機の音
様々な音が心地良い音楽となり
鼓膜を揺らす
目を開け
僕は飛び石の上でステップを踏んだ
『空を見上げて心に浮かんだこと』より
朝目覚めると1件の通知が来ていた___
眠たい目を擦りながら画面をじっと見る
大きな欠伸をひとつ
スマホをベッドに放り投げ
横にあるカーテンを開ける
うん、今日もいい天気
近くで蝉の声が聞こえる
汗ばんだ体を洗い流すため
私はベッドから降りた
未読の通知を残したまま
【_____】
『1件のLINE』より
誰かが言った
“百万ドルの夜景”
”その景色は
誰が見ても美しい”と
眼下には
あちこちキラキラと輝いている景色が広がっている
白にオレンジ、金色に、、、
さまざまな光が集まっている
”あ、あそこ車が通っている”
”あの道から私たち来たのかな?”
”高速道路も見えるね‼︎”
あっちこっちから声が聞こえる
私だけではない
みんなそれぞれこの景色に見惚れている
私は手すりに寄りかかり
その風景を瞼に焼き付けるために
目を閉じた
『街の明かり』より
“ささの葉さ〜らさら〜”
遠くから子どもたちの歌が聞こえる
縁側に飾ってある笹が風により
さらさらと揺らいでいる
そこには色とりどりの短冊や飾りが飾られており
笹の葉を彩っていた
私は水の入った桶を沓脱石の上に置き
空を見上げた
雲ひとつない星空が広がっている
歌のように本当に砂子のようだ
天の川の両側に目的の星を見つけ
桶の位置を調節する
袖が濡れないように少し捲し上げ
桶の中にある天の川を少しかき混ぜる
こうすれば織姫と彦星の光がひとつになる
今年も無事に会えたようだ
私は縁側にうつ伏せになり
指だけくるくると廻し続けた
『七夕』より
“神頼みかい?”
僕にとって一世一代の大勝負
試験に受かるよう一生懸命お参りしている僕の横に
それは現れた
ニヤニヤ顔でこちらを見ている
僕は不審な顔でそれを見た
それの眼はどこか不思議で
思わず吸い込まれそうになり
慌てて眼を逸らした
“神様は未来がわかると思うかい?”
“もし分かったとしても、きっとそれを伝える術は”
“持ってないんだよ”
分かっている
自分でも理解している
けれども、最後にどうしても縋ってしまうのだ
大丈夫と思っても
どうしても頼まずにはいられない
そんな僕の思いを読んだかのように
それは言った
“君の願い叶うと良いね”
『神様だけが知っている』より