“神頼みかい?”
僕にとって一世一代の大勝負
試験に受かるよう一生懸命お参りしている僕の横に
それは現れた
ニヤニヤ顔でこちらを見ている
僕は不審な顔でそれを見た
それの眼はどこか不思議で
思わず吸い込まれそうになり
慌てて眼を逸らした
“神様は未来がわかると思うかい?”
“もし分かったとしても、きっとそれを伝える術は”
“持ってないんだよ”
分かっている
自分でも理解している
けれども、最後にどうしても縋ってしまうのだ
大丈夫と思っても
どうしても頼まずにはいられない
そんな僕の思いを読んだかのように
それは言った
“君の願い叶うと良いね”
『神様だけが知っている』より
7/4/2023, 12:48:26 PM