『マグカップ』
眩しい太陽の日差しで目が覚めた日曜日。
もぞもぞと布団から抜け出す。隣に眠るのは、愛しい彼。
まだ気持ちよさそうに眠る彼の、サラサラとした髪の毛を撫でてから、起こさないようにそっと布団から抜け出す。
リビングに出て、まず喉を潤す。
それから食パンを取り出してオーブンにかける。
パンを焼いている間に、目玉焼きを焼く。彼半熟。あたしはかため。
それと同時にコーヒーミルにコーヒー豆を入れて挽く。
水を入れて、コーヒーを沸かす。
朝の光景。
しばらくすると、食パンが焼けたいい匂いと、目玉焼きが焼ける音がした。それと同時にコーヒーのいい香りが、あたしの頭を目覚めさせる。
できあがったものをお皿に乗せて、テーブルに並べる。
いい香りのするコーヒーを2人でお揃いで買った、お気に入りのマグカップに注いで、気持ちよさそうに眠る彼を起こしに行く。
今日も幸せな朝が始まる。
『もしも君が』
広い広いこの世界の中で、もしも君が僕を見つけて、好きになってくれるのであれば、それはとても奇跡的なことで、とても幸せなことである。
もしも君が、なんて今日も思いながら一人目を閉じる。
『君だけのメロディ』
歌うのが好きな君は、いつも歌を口ずさんでいた。
となりでそれを聞くのが好きで、いつしか僕の作った歌を歌ってほしくて、独学でたくさん勉強して練習した。
君に歌ってほしくて、君と一緒に楽しみたくて、君のために作った歌。
君だけのメロディ。
いつか出来上がったら、君はどんな表情を見せてくれるのか。
今から楽しみだ。
『I love』
たった一言、あなたに伝えたい。
離れていても、どこにいても私の気持ちはいつも同じだと。
『雨音に包まれて』
今日も雨。
気持ちは憂鬱。ジメジメとした空に悪態をつく。
雨のせいで気分も落ち込む。
一人心の中で愚痴りながら歩いていると、小さいながらも聞き慣れた声が聞こえてきた。
振り返ると、大好きな彼がいた。
「どうしたの?」
そう聞くと、彼は眩しい笑顔を向けて、
「一緒に学校行こ!」
と明るく言う。
雨なんて、気にしないと言わんばかりのその笑顔にときめく。
私は彼に恋をしているのだ。
雨の中2人で歩いていると、まるで世界に2人だけのようだ。
いつもこんなのなら雨の日も悪くないなと思うのに、、、。
楽しく歩いていると、彼の声色が変わったことに気づいた。
彼に向けていた顔を目の前に向けると、彼が好きなあの子がいた。
彼は、私といたことをなかったかのようにあの子のところへ走っていく。
「好き」
駆け出して行く、彼の背中に思わず言葉が紡がれる。
ただ、その言葉は雨音に包まれて、消えていった。