「探し物は見つかったかな?」
「すみません。まだかかりそうです。
確かここにあったような」
ここは本屋。
「ちょっとそこの本でも読んでてください」
僕はそう言って
1冊の本を探しに行った。
ここには300万冊の本があるというのに
─────『もう1つの物語』
暗がりの中で怖がる僕を母は守ってくれた。
ここにはご飯がないから2人ともお腹すいていた。
やっとご飯にありつけた時には
母が私に全部くれているから
もう骨の形もわかってしまうようだった。
昼間餌を探しに行ってから母が帰ってこない。
母は死んだ。
僕はまだ暗いのが怖いのに。
側にいてよお母さん
─────『暗がりの中で』
数年越しの実家。
数年ぶりの祖母と両親。
俺が数年前家を飛び出して行った家は
思っていたよりも暖かくて気が抜けた。
何も言わずに帰宅したにもかかわらず
僕を見ても祖母と両親は何も聞いてこなかった。
「おかえり」
祖母は
「紅茶好きだったでしょう」
そう言って
紅茶をいれてくれていた。
僕は紅茶よりも珈琲が好きになのに。
久しぶりに飲んだ紅茶は
僕を温かく迎え入れてくれるようで
ほっとした。
─────『紅茶の香り』
書いたのに消えてて悲しい
僕の足音とロボットの起動音だけが響く
この学校が好きだ。
「おはよう僕の友達」
「ト...トモダチ」
「そう僕と友達。」
「...ワカラナイ」
「そうだね」
いつも通り一言二言会話して
僕はツルが伸びた席についた。
でも今日だけは違かった。
「セ...センセイ」
「...?」
「センセイハドコ」
「先生?
じゃあ一緒に探してあげる友達だからね。」
ロボットが言う先生が誰か分からないけど
見つかればいいなって思った。
─────『友達』
友達は少ない方だけど
僕は大切な人に囲まれていると思う。
全員に好きを伝えたい。
僕といてくれて
僕と笑ってくれて
ありがとう
それとは別に君に伝える愛言葉。
君に届いてこの気持ち。
─────『愛言葉』
前を進む彼に行かないでと声をかけなかったのは
彼が眩しく見えたから。
僕が縋り付く彼は
もう僕を必要としていないようだった。
そっちに行かないで
僕と一緒にいて。
そんな言葉で止まってくれる
駆け寄ってくれる彼は
もう居なくなっていた。
僕はまだ君を求めているのに。
僕から離れていかないで
僕を置いて行かないで。
─────『行かないで』