君の優しさが急に苦しくなるよ
─────『優しさ』
窓を叩く音がした。
仮面をした誰かが私を見てる。
「やぁお嬢さん、出かけない?」
「...何を言ってるの?」
今は真夜中
「いいからいいから」
そっと手を引かれて私は外に出た。
でもここは2階
「ここは2階よ」
「大丈夫だから」
彼は手を繋いだまま屋根へと飛び移った。
月と星がキラキラと輝いて
いつも屋敷に居る私には
新鮮な景色だった。
両親にバレたら大変だけど
今はそんなこと関係ないくらい
彼との時間が楽しかった。
ミッドナイトに姿を見せた君は
私に楽しさを教えてくれたみたい
─────『ミッドナイト』
以前と同じ気持ちを持っていたなら
ここも安心できる場所だった。
いつも決まった場所を陣取って
いつも通りテレビを観たりゲームをする
それでも私は安心していない。
私の心は荒波が押し寄せている。
もう1年を切った将来の事
進学にするのか就職にするのか
今までは大まかな事しか決めていないのに
安心しきっていた。
それが今の先生や親は
口を開けば進路のこと
嫌になってくるというか
不安でいっぱいだ。
きっとそれが終わった安心して
何かしらでまた不安になっていくのだろう
─────『安心と不安』
あの日から俺達は一緒だった。
目的地はもうすぐだって言うのに
隣に並んで歩いていたあいつは足を止めた。
なんで止まってんだ?
俺は言ったが
あいつは何も言わない。
俺は振り返る。
逆光であいつを見ることは難しかった。
「ごめん。ここからは一人で行って」
あいつはよく分からない。
自分のことも話してくれない人だった。
言葉が少なくてよく分からないけど
きっとあいつはあいつなりの考えを持って
あの言葉を言ったんだと思う。
最後にあいつの顔をしっかり見ておきたかった。
あいつに1歩近づこうとした時
「ダメだよ」
この一言を行ってきた。
そうか俺は戻ることをしては行けないのか。
「じゃあな」
逆光のあいつに一言言って
俺は歩き出した。
もう振り返ることも戻ることも出来ない俺の
この先に何があるかも分からないまま
─────『逆光』
最近私の周りの人がおかしくなり始めている。
とうとうここまで来てしまったか。
みんな感染されていくんだ。
正気じゃなくなっていくんだ。
どうすることも出来ない僕は
いつの間にか眠っていた。
誰かと夢で会っていた。
夢で何か話してた。
「──、これは世界を変えていくことになる。」
肝心なことだろうところは
もう覚えていない
世界を変える何かがある
こんな夢を見た
─────『こんな夢を見た』