あの日から俺達は一緒だった。
目的地はもうすぐだって言うのに
隣に並んで歩いていたあいつは足を止めた。
なんで止まってんだ?
俺は言ったが
あいつは何も言わない。
俺は振り返る。
逆光であいつを見ることは難しかった。
「ごめん。ここからは一人で行って」
あいつはよく分からない。
自分のことも話してくれない人だった。
言葉が少なくてよく分からないけど
きっとあいつはあいつなりの考えを持って
あの言葉を言ったんだと思う。
最後にあいつの顔をしっかり見ておきたかった。
あいつに1歩近づこうとした時
「ダメだよ」
この一言を行ってきた。
そうか俺は戻ることをしては行けないのか。
「じゃあな」
逆光のあいつに一言言って
俺は歩き出した。
もう振り返ることも戻ることも出来ない俺の
この先に何があるかも分からないまま
─────『逆光』
1/24/2024, 11:22:21 PM