木弓るん

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6/15/2024, 1:48:08 PM

好きな本

好きな本を選んでいいよ
その言葉はいつだって
試練であり、呪いだった

男の子っぽい内容だから
まだ難しいと思うから

何かと理由をつけて
本当に好きな本を
選べたことはなかったから

何が好きなの?
私は何が好きなのがいいの?
自分で自分がわからない

ただ

今私は図書館で
何度も何度も同じ本を読んでいる
誰にも見られないように

6/14/2024, 12:44:38 PM

あいまいな空

水っぽい空の色に控えめな赤がにじんでいく
昼でも夜でもない
朝日でもなければ夕日でもない
筆は紺色をパレットからすくっていくけれど
筆を置いた先は濃くなるどころか
あいまいに色が抜けていく

私は何を描きたいのだろう
何を表現したいのだろう
悩んでも気持ちはまとまらなくて
気晴らしに窓を開けてみれば

曇とも晴れともつかないような
あいまいな空が私を見下ろしていた

6/13/2024, 10:43:11 AM

あじさい

雨に濡れる花が初夏の始まりを告げる
傘を閉じ、見上げた空は透き通った青
差す光に導かれて
街も、私の暮らしもうつろっていく

久しぶりに通った道は
いつの間にかあちこちが空き地になっていて
ところどころ
新しい建物が建つお知らせ看板が立っている

あのころ君と歩いたこの道
その時のおもかげはもう残っていない
その時の気持ちも
もう私には残っていない

街並みも環境もうつろっていく
人の心もうつろいゆくものだ
振り返らない私のうしろで
変わらないあじさいの花だけが
泣いているように雫をこぼしていた

6/12/2024, 11:31:35 AM

好き嫌い

好き
無造作にちぎった花びらは
嫌い
風に吹かれて遠くに消えていく
好き
無心で花びらをちぎっていって
嫌い
いつの間にか花びらはなくなっていた

好き、嫌い、好き、嫌い

いつまでも続けている
どっちで終わっても不安で
信じられなくて
目線は無意識に次の花を探す

良くないことだとわかっている
自分にとっても
花にとっても
なのにやめられない

貴方は私のこと、好き?
私は貴方のこと、嫌いなの?

6/11/2024, 11:31:18 AM



初めて訪れた街は何もかもが大きくてきらびやかで
ただただ圧倒されていた

こんなところでやっていけるのだろうか
憧れて来たのにも関わらず
不安でいっぱいだった

今となってはこの街は俺の第二の故郷だ
お店が立ち並ぶ華やかな通りも
行き交う様々な人種の人たちも
今は心地よい

すっかり行きつけになった店の扉を開ければ
馴染の面子が声をかけてくれる

俺はこの街が好きだ

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