やりたいこと
意識は朦朧としているのに
どうしてこんなに思考だけは回るのだろう
俺はここで終わってしまうのか?
まだまだやりたいことがあるのに
毎週楽しみにしていたアニメはまだ終わらないし
借りた小説もまだ読み終わっていない
書きたい物語もあるし
元気になってパーティーも開きたい
君と遊びに行きたいし
君に告白して君とともに生きたい
叶わないのだろうか
全て終わってしまうのだろうか
段々と思考も回らなくなってきた
死にたくない死にたくない
こんなに、やりたいこと、ある、のに
朝日の温もり
眠い目をこすりながら外に出ると
眩しさに目を焼かれる
これだから朝は苦手なんだ
ふらふらとゴミを集積場のかごにぶちこんで
さっさと戻って二度寝を決め込もう
そう思ったが
小さな鳴き声に振り返る
野良猫だろうか
それにしても警戒心のない野良猫だ
近付いても逃げることなく
逆にすり寄ってくる
触れた身体は朝日の温もりをためこんで
温かかった
気が付くとすっかり目も覚めていて
良い一日になりそうだ
猫をなでながらそう思った
岐路
日々、このままでいいのだろうか
家路を急いでいたのに
急に立ち止まる交差点の真ん中
毎日を平穏に何事もなく過ごす
それは意外と当たり前のものではなく
いとも簡単にある日崩れ去ってしまうものだ
だから今はこのまま
日常を過ごしてもいいのかもしれない
だけど
こんな毎日に物足りなさを感じるのもまた
事実なのだ
ほんのちょっと
たとえば今この道を
家とは違う方向に歩いてみる
それだけでいいのかもしれない
自分の意志で何かを選ぶ
それもまた大事なことなのだから
世界の終わりに君と
君の手を取りきつく握りしめる
緊張してるねって笑いたかったけれど
僕の手も震えている
君は気丈にも微笑んで
繋いだ手の上にもう片方の手を重ねて
大丈夫だよって僕を見る
君だって怖いだろうに
毅然と空を見上げる
赤く染まった空に黒い塊
もうすぐ世界はこの黒に押し潰される
僕が君を守ることができないように
誰もこの定めから逃れられない
君と僕は共にここで終わりを迎えて
共に生まれ変わる
最悪
降りしきる雨の中を全力で走る
息は上がって胸は苦しいが
足を止めるわけにはいかない
くそっ…なんで…
なんでこんなことになってしまった
自分に問うまでもない
全部自分のせいじゃないか
自分の至らなさが今の状況を招いた
無事でいてくれ…
自分の代わりに苦境に立たされている
自分にとって大事な人のことを思う
どんなに考えても
その願いが叶う未来が浮かばない
だけどせめて手遅れにならないように
最悪の事態を避けられるように
今はただ走るしかなかった