木弓るん

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3/17/2024, 10:10:00 AM

泣かないよ

さよならを告げる君
別に突然のことじゃない
僕にも、君にも夢があって
お互いの道が違っていた
ただそれだけのこと

幼稚園の頃からだったから
思えば長い付き合いだった
当たり前のように一緒にいて
どちらからともなく惹かれ合った

名残惜しいよね
寂しいよね
君は必死に泣くのを我慢しているけれど
僕は泣かないよ

お互いに決めたこと
揺らいではいけないから

3/16/2024, 12:12:30 PM

怖がり

君はいつだって
僕の後に隠れるようについてきていた

知らない人に挨拶する時
二人だけで商店にお使いに行った時
僕が気まぐれで肝試しに夜のお墓に行った時

小さくて可愛かった君は
しばらく見ないうちに
すっかり綺麗な大人の女性になっていた

なのに、帰りの道で君は僕の袖を掴む

「その、田舎の夜道は、怖くって」

どうやら君の怖がりは
大人になっても治っていないらしい

懐かしい気持ちで
僕は君を実家まで送っていった

3/15/2024, 1:10:39 PM

星が溢れる

「うわぁ〜」

感嘆の声を上げながら空を見上げる君
足元気を付けないと、危ないよ
そう言う間もなく躓いてよろける君
咄嗟に手を出した僕も支えきれず
二人揃って草むらに倒れ込む

「いった…大丈夫?」
「私は平気。ごめんね、巻き込んじゃって」

仰向けになって空を見る君にならって
僕もごろりと仰向けになってみる

満天の星空が瞳に飛び込んできた

「見慣れた景色だと思っていたけど
 確かにすごい光景だな」

久しぶりに帰ってきた田舎の夜空は
宝石箱をひっくり返したようにきらびやかだった

溢れて、零れ落ちそうな星の下
君と僕はいつまでも寝転がって
その光景をながめていた

3/14/2024, 12:40:00 PM

安らかな瞳

「来てくれてありがとう」

大きな月を背に、君は微笑んだ

「最期に、会いたかったから」

行くな
そう、引き止めたかったのに
声も出せず、足も動かない

「あなただけがわたしのこと、わかってくれた」

君のやろうとしていることは間違っている
まだ引き返せる
なのに

「ありがとう、さようなら」

君は遠ざかっていって
ビルの下に消えた

僕の記憶には
君の安らかな瞳だけが残された

3/13/2024, 11:38:45 AM

ずっと隣で

どうしたの?
ひとりぼっちで、うずくまって
ないているの?

かなしいことがあったの?
お友だちに、仲間はずれにされたの?
それはさみしくて、つらいね

でもだいじょうぶだよ
きみはきっと乗りこえてつよくなれる
それまではわたしが
ずっと隣でみまもっているね

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