木弓るん

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安らかな瞳

「来てくれてありがとう」

大きな月を背に、君は微笑んだ

「最期に、会いたかったから」

行くな
そう、引き止めたかったのに
声も出せず、足も動かない

「あなただけがわたしのこと、わかってくれた」

君のやろうとしていることは間違っている
まだ引き返せる
なのに

「ありがとう、さようなら」

君は遠ざかっていって
ビルの下に消えた

僕の記憶には
君の安らかな瞳だけが残された

3/14/2024, 12:40:00 PM