木弓るん

Open App
11/23/2023, 11:19:49 AM

落ちていく

とっさに差し伸べた手は届かなかった

「あっ、あー、ああぁ」

間抜けな声を上げながら
見守ることしかできない

崖下に落ちていったペンは
何度か岩にぶつかる音を響かせて
消えていった

「大事にしてたのに…」

這いつくばってうなだれる

「そんなもの、またいくらでも買ってあげるよ。そんなことよりあまり崖に寄らない。君が落ちてしまったら代わりがないんだから」

うなだれる私に声をかけてくれるあなた
まったく

「今度はもっと可愛いやつを買ってね。あとパフェご馳走してよ」
「あはは、了解」

あなたがそんなだから
私はあなたに落ちていくのだ

11/22/2023, 1:04:20 PM

夫婦

夫婦ってなんだろう
書類を書いて判を押して
式を挙げれば夫婦になれる?

夫婦ってなんだろう
愛を誓って共に生きる
夫婦になれば幸せになれる?

形式とかそんなのなくてもいい
誰もが羨む
幸せな夫婦でありたい

11/21/2023, 11:12:56 AM

どうすればいいの?

失ってしまった
何もかも
道はわからず
頼る人もいない

失ってしまった
自分の居場所
大好きだったあなた
全部私が悪かったの?

どうすればよかったの?
この先
どうすればいいの?

暗闇の中
途方に暮れる私を
助けてくれる人はもういない

11/20/2023, 10:20:12 AM

宝物

あの日、僕たちは冒険をした
おじいちゃんの使っていた机
その引き出しから宝の地図が出てきたから

手を取り合って
崖を登って
行き着いた先は小さな祠

だけど、祠の周りを探しても
宝物は見つからなかったんだ

意気消沈する僕たちの前に
祠を手入れしに来たというおじいさんが現れた
話を聞くと
おじいさんは僕のおじいちゃんの友人だった

僕の持つ宝の地図を見て
おじいさんは言った

「残念がらなくてもちゃんと宝物はここにあるんだよ」

手を伸ばした先
夕陽が町を照らしていた

今思い出す
確かに宝物はあったんだ

あの夕陽を見て笑い合う
僕たちの思い出というかけがえのない宝物

だから僕はそっと机の引き出しに地図を仕舞う
僕がこの世を去ったあと
君がこの地図を見つけてくれるように

11/19/2023, 2:59:45 PM

キャンドル

火を灯す
願いを込めて
祈りを込めて

暖かさと
穏やかさと
神聖な空気に満ちる

どうか平和な日々を

Next