komaikaya

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11/9/2025, 12:46:49 PM

キミへのこの感情がボクの『心の境界線』を曖昧にしたせいで、ボクはボクというカタチを保てなくなってしまった、だって本来のボクはこんな脈絡のない支離滅裂な言動なんかするはずがなくって、この感情はどうしてこんな理にかなってないことばかりをボクにさせようとするのだろう? この不毛な感情には名前が付けられていて、叶うとか叶わないとか、そんな動詞がくっついてくるけど、そのいずれかの結末に至れば、この感情にもちゃんと、終わりが来るのだろうか?

11/9/2025, 1:23:43 AM

 よく晴れた日にふいに流れてくる、続くような綿雲には、たくさんの天使たちが乗っているのだそうだ。
 彼らがどんな用事で雲の高さにまで降りてくるのかは、人のあずかり知るところではなく、そもそも、その存在に気づく者はほとんどいない。

 それでも、「姿を見た」「ことばを交わした」という者はちゃんといて──そんな者たちが語るうちの一つは、こんな話だ。


 天使たちはそれぞれに、真っ白な、幾対かの大きな翼を持つ、とされる。
 その翼はまるで大きな鳥のそれ、バサリと羽ばたけば、ちゃんと鳥のように、生え変わりの羽根が抜け落ちる。そしてその抜け落ちた羽根は、その瞬間──天使の一部ではなくなった証拠に、色を失くす。天使を視る者さえも認識出来ない、言わば『透明な羽根』へと変貌する。

 透明な羽根は、地球の重力に従って緩やかに落ち、だが意思を持って、その行く先を定める。目的の場所にたどり着いた羽根は、そこにあった、やはりこの世にたどり着いたばかりの命と魂に溶け込むことで、やっとそのカタチを失くす。

 遠い昔、大いなるものが天使に、その務めをまっとうするために与えたのは、光。
 その光はやがて、人の子の目にもそれとわかる翼となり──つまり。

 翼は光で、抜け落ちた羽根もまた然り。ひとひらの羽根であった光は、新しい命と魂の糧となるために溶けて、それは、これから生まれ来る誰しもが内に持つ、小さな灯火となる。

 その小さな灯火を囲んで、羽根を追い降りて来た天使たちは集い、歌う──どうかこの、一つの大いなるものから分かち合った光が、この世に生を受ける勇敢な子らの道標となりますように……と。

 灯火は時折、夢の中で──自らの元の姿、羽根のカタチをとっていた頃を思い出し、夢の主にその姿を現すことがある。
 視えないはずの透明な羽根は、そうやって人々に、その存在を認識されることとなった──。


「……つまり。これって、夢の話?」
「そう。だから、信じるか信じないかは……ね?」

11/7/2025, 3:39:06 PM

『灯火を囲んで』の情景3篇

・いつ
・どこで
・誰が、誰と
・なぜ
・なにを=『灯火を』
・どのように=『囲んで』
・どうした

◇◇

給料日前の週末に
自宅で
ワタシとアナタが
冷蔵庫の中を片付けるために
カセットコンロの灯火を囲んで…

「鍋だな」
「鍋の季節になりましたねー」

◇◇

世界が闇に覆われし時
我の居城で
我とその眷属が
その崇高なる目的のために
不滅の灯火を囲んで
大いなる書物を紐解く

「おそらく、中二病の読書」
「眷属って?」
「ぬい、かな…」
「フフッ、夜更かしも程々にねっ」

◇◇

ほかの人にはなんでもない日
わたしの部屋で
推しと一緒に
わたしの誕生日のお祝いに
小さなケーキに立てた
一本のロウソクに揺れる灯火を囲んで
わたしはその火をそっと吹き消した

「とりあえず、おめでとう〜」
「おめでとう」
「この場合の推しはやっぱり、」
「アクスタとか動画とか…いや。
もし仮にこの推しが、実物だとしたら?」
「……あっ。プロ彼女の匂わせブログ!」

11/7/2025, 8:42:44 AM

 立冬を迎える前から『冬支度』はすっかり整っている。保温効果の高い肌着の上下に靴下、手袋とマフラー、羽織るダウンにも室外用と室内用があるし、羽毛布団も冬用のモコモコスリッパも、すっかりスタンバイ済みである。

 そう、少しでも体を冷やしたら、負ける。
 負けとは──風邪を引くこと。

 冬支度というのはつまり、戦の準備だ。冬という季節と私との、絶対に負けられない戦いの始まり。
 一度も風邪引かないで春を迎えられれば、私の勝ち! 毎年そう意気込んで、でも昨シーズンは数回負けた……悔しい。

 マスクにのど飴、使い捨てカイロ、葛根湯、ビタミンCのサプリ、ヨシ。あとは日々の食事と、加湿は夜洗濯の部屋干しで……あー加湿器という便利な物もありますよね、でも加湿器のお世話に自信がない……今年は検討してみようかな?

 アナタの冬支度はどこから?
 ワタシは喉から、とにかく喉を守るのだ!

11/6/2025, 2:05:06 AM

 円満離婚した元ダンナは、私の10コ上だった。
 そして、いまの私のカレシであるスバルくんは、私の10コ下。こんなの、もちろん狙ったわけじゃないんだけど。

 離婚前の私は。元ダンナと同じものが見たい、と年に似合わない背伸びをして、それで空回りばかりしていた。
 だからスバルくんが、私との年の差に、要らない焦りを感じている、その気持ちが、わかりすぎるくらいにわかってしまうのだ。

 でもね、スバルくん。私はあなたに、そんな無理はしてほしくない。彼に、そのままでいいよ、って言いたいけれど、それを伝えることの失礼さも重々承知している。

 なら例えば、神様にでも頼んで──スバルくんを待って、私の時だけが止まってしまう、そんなことが起これば、私たちはすれ違わずにいられるのだろうか?

「町中華特集かぁ。最近、多いなー」

 テレビのリモコンを片手に、スバルくんが言った。
 結局、今日もこうしておウチデートになってしまったのは、私が体のだるさを訴えたからで。20代のスバル君はまだ若いんだし、もっと外にお出かけしたいだろうなぁって思うんだけど。
 こんな私に付き合わせてしまって、いいのかな。テレビ画面に映る、中華屋さんを営む老夫婦を眺めながら、罪悪感と、それと真反対の、彼に想われ大事にされていることへの嬉しさが、私の内側でせめぎ合っていて……。

「12歳年上の姉さん女房。ふーん……」

 その姉さん女房なおかみさんのコメントを聞いたスバルくんが、言った。

「俺もこの境地に、早くたどり着かないもんかなぁ……出来れば、あと2年くらいで」
「んん? この境地、って?」
「このご夫婦さ、82歳と70歳で、でもそんな年の差があるなんてパッと見、誰もわかんないじゃん? いまの俺だとどうしても、ユウナさんと比べてガキでしかないから、」
「あと2年で、って……フフッ。アハハハハッ」
「なっ……笑わなくたっていーじゃんか!」

 スバルくんの、ムッとしたカオ。
 でも、ごめんね。だってさ……。

「やだ。そんな急に年とりたくないよー」
「や、だから、そういうことじゃなくて! ユウナさんはそのまんまで、俺がもっと、」
「それもやだ。スバルくんもそのまんまでいい、そんなにすぐに、オジサンにならないでよ」

そっか……そういうことなんだ。
 私とスバルくんはいつか、おばあちゃんとおじいちゃんになって、年の差が10コもあるなんて、誰にもわからなくなる。私とスバルくんの間に横たわる年月は、それこそ時間が解決してしまうってこと、じゃあ、それならば。

 神様にはやっぱり、『時を止めて』欲しい──私だけじゃなくて、二人一緒に。この瞬間、スバルくんがスバルくんのまま、そして私も私のままでいる、いまという時間を、もっと大事に、ゆっくりと味わいたいから──。

 ……なーんて、ね?
 でも実際のところ、アンチエイジングにはそこそこ必死にならないと、いろいろとマズいかもしれない。この美少年顔はきっと老けにくい……どうするよ、私?!


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