絶対に報われない恋心。
男同士だからだろう。
絶対に報われない恋を俺はしてしまっている。
幼馴染だった彼奴に、友達とは見れなくて、恋愛として、好きになってしまったんだ。
今日も放課後に、彼奴と教室に残って、他愛も無い話に花を咲かせるのだ。
「前にさ〜、文化祭の準備で〇〇が〇〇に〇〇してさ〜。彼奴さ~…」
俺のわからない話をよくしてくるが、彼奴が楽しそうに話していると、伝わらなくても楽しくなってくる。
この時間がずっと続けばいいのにって、何回も考えている。
昼間の時間は、胸が苦しくなってくるのだ。
彼奴が他の女の子とかと楽しそうに話している所を見ると、何も言えない気持ちになる。
「……お前はこの小説の話を知っているか?」
1つ目の話が終わって、彼奴はまた新しい話を続ける。
何を話すのかと思えば、何だかいつもと違うような雰囲気で話す彼奴。
「とある小説の話でな、主人公と結ばれるはずの女の子が、結ばれないときに
カーテンに包まって、主人公にこう言うんだよ。」
彼奴は椅子から立ち上がって、カーテンに包まり、俺にこう言ったんだ。
「花嫁に見える?」
知られる前に消えてれば良かった。
「お前だけが光だったのに…残念だよ。」
勝手に期待されて、好き勝手に損をされた。
私だって、昔から分かっていた。
この人達に期待しない方が良いって。
誰かに期待するのも昔から避けていたけど、
こうやって言葉を包みもせず言われるのは辛いね。
「こんな事を言われるんだったら最初から消えとけば良かった。」
私はいつも人前では泣かないけど、感情が無いわけでは無い。
怒らないわけではない。
でも彼奴等は調子に乗って、私にそう言ってくる。
家族だから、家族だからこそ、自分自身を出せれる機会だと思ってたのに。
私こそ、彼奴等に言ってやりたいよ。
「アンタ達だけが光だったよ。」
お手紙。
「これ…私の?」
とある日に、自らを手紙屋と名乗る青年が来た。
わざわざこんな田舎まで来てくれたのか。
「はい。こちらになります。」
肩掛けバック?のような物を下げている。
多分その中にまだ届けられていない手紙が沢山入っているのだろう。
そして、その青年の足元には黒い猫さんが居た。
赤い目が私を見つめている。
私は2人にお礼を言うことにした。
もしかしたら、わざわざこんな田舎まで来てくれた可能性があったからた。
「ありがとう、猫さん。そして、手紙屋さん。わざわざ遠くからこんな田舎まで来てくれたんですか?」
私の問いに、青年は答える。
「そこまで遠くではございません。」
私が足元に居た猫さんを抱き上げ、撫でると猫さんは喉を鳴らした。
凄く人懐っこい猫さんだった。
「少し待っててください。」
私は、近所のお婆さんから貰ったお菓子を、手紙屋さんにおすそ分けすることにした。
直で渡すのは、何だか気が引けた為、小さな包みのようなものに入れた。
「良かったら食べてみてください。美味しいですよ。」
「ありがとうございます。」
青年は私に微笑んだ。
「では、これで。失礼致しました。」
青年は私にそう言うと、さっきまで私の近くに居た猫さんは青年に着いていったのだ。
(数時間後)
「今日、手紙屋と名乗る青年が来たんだよね。」
「手紙屋…?」
「そう。多分、配達員みたいな感じだね。」
「手紙屋は何十年も前に、無くなったはずだよ?」
夢の中でも夢を見たい。
なんて、しょうもない事ばかり考えている僕。
親や先生に
「この先どうしていく気?」
と聞かれても、おかしくは無いだろう。
だって、僕には何も才能が無かったんだから仕方無いよ。
どれぐらい勉強をしたって、成績が上位の子には敵わないし。
どれぐらい自分磨きを頑張ったって、元が良い子には敵うはずもない。
僕の努力不足だって言えるだろう?
だけど、そんなの僕じゃないと分からない事なんだよ?
「努力は必ず報われる。」
なんて言葉を信じ続けていた少年は、今となっちゃ努力すらも信じてない。
君には分かるはずもないんだよ。
元の要素が高い君には。
勉強も、地頭が良いから少し勉強すれば、成績上位に行けるし、顔だって元が良い。
おまけに人思いな君は、クラスでも人気者だね。
「雨が降ってきたから遊びに行かなかっただけさ。」
「今日は体調が悪かったんだよ。」
「元々そんな行きたくなんてなかったんだよ。」
言い訳ばかりする僕とは正反対。
努力?何で君は馬鹿な事を行っているんだい?笑
努力なんてただの偽善だよ。
努力すれば誰もが報われるはずもないのに、君はそうやって当たり前のように言う。
「良い子ちゃんはさっさと帰ってろ。」
「…で、でも…!きっと!貴方を助けられる方法があるはずよ…!!!努力すれば貴方も助かるはずよ…!!」
「努力?方法?笑、そんなのに縋ってたらいつまで経っても大人になれねえぞ?笑、良い子ちゃん。」
お風呂に沈む前に。
静かな部屋に、一人寂しく音が鳴る。
誰かに気付かれている訳でも無いのに、静かな部屋に光が灯っている。
綺麗で、美しい少女は、今にもお風呂に沈みそうだ。
いや、人間では無くて、本当は人形なのかもしれない。
誰にも気付かれずに死にに行く少女。
大きな目が、水面を覗かせている。
目の前には何も無いのに、何かがあるかのように、ジッと、静かに見つめている。
もしかしたら、将来の自分の姿でも見えているのだろうか。
静かに水中の中で呼吸をする。
その呼吸をしている姿さえも美しい。
こんなに美しい少女が、人々に見捨てられるはずもないのに。
いや、人々はもう気付いていたのかもしれない。
だけど、人々は気付いていないふりをする。
当たり前の事だ。
こんな事を知っていたら、人々は、気付かない。いや、気付けないのだ。
何故なら、
「もう死んでいたから。」
-----作者から-----
沢山のハートをありがとうございます。
こうやって様々な方に見られる小説を書くのは初めてで、毎度毎度、書くのを楽しみにしていました。
来年度も、変わらず、自分の好きな小説を書き続けたいと思います。