お風呂に沈む前に。
静かな部屋に、一人寂しく音が鳴る。
誰かに気付かれている訳でも無いのに、静かな部屋に光が灯っている。
綺麗で、美しい少女は、今にもお風呂に沈みそうだ。
いや、人間では無くて、本当は人形なのかもしれない。
誰にも気付かれずに死にに行く少女。
大きな目が、水面を覗かせている。
目の前には何も無いのに、何かがあるかのように、ジッと、静かに見つめている。
もしかしたら、将来の自分の姿でも見えているのだろうか。
静かに水中の中で呼吸をする。
その呼吸をしている姿さえも美しい。
こんなに美しい少女が、人々に見捨てられるはずもないのに。
いや、人々はもう気付いていたのかもしれない。
だけど、人々は気付いていないふりをする。
当たり前の事だ。
こんな事を知っていたら、人々は、気付かない。いや、気付けないのだ。
何故なら、
「もう死んでいたから。」
-----作者から-----
沢山のハートをありがとうございます。
こうやって様々な方に見られる小説を書くのは初めてで、毎度毎度、書くのを楽しみにしていました。
来年度も、変わらず、自分の好きな小説を書き続けたいと思います。
12/30/2023, 11:13:38 AM