明日を生きたい君には向いていない。
「俺も仲間に入れてよ。」
ボス「…いつ死んでもおかしくない、それでも良いのか?」
「そこまで考えたこと無かったけど別に良いよ。」
俺がこの軍に入ってから数年後、新しい奴が入った。
よく分からん奴で失敗も多かった。
「お前、何でこの軍に入ろうと思ったの?」
新人「人助けに憧れてたからですかね、笑」
「…ほーん。」
正直に目の前で言っても良かった。
誰かを助ける前に、お前が先に死ぬぞってな。
まあ、けど新人の希望をかき消すほど、俺の性格は悪くないと思ってる。
ただ、これだけは俺からも言いたい。
「お前みたいな明日を生きたい奴には軍は向いてないよ。」
数年後、他の国との戦争が起こった。
ボス「緊急命令だ!!お前ら一時避難しろ!!」
相手の方が人数が多くて、コッチは押されていた。
「俺行きますよ。他の奴らより体力はまだある。」
ボス「無理をするな。避難しろ。今行ったら確実に死ぬぞ。」
「…ボス。俺がこの軍に入ったのは__________________
死にたかったからかもしれません。」
ボス「…!」
この出来事は歴史を刻んだ。
1人の勇敢な兵士のおかげで国が逆転勝利したという。
自爆特攻をしたあの兵士は、最後まで自分自身の素性を明かさなかった。
これは、死にたかったあの兵士が自分自身という記憶を残さなかったためなのか、それは誰にも分からない。
口癖なんかやめなよ。
「あーもう死にたいな。」
今日も口癖でそう言っている私の友達。
私「……やめなよ、笑」
曖昧な言葉で返しているのは分かっている。
私「…私がもし生きて、◯◯が死んだらさ、生き残ってた私の気持ちを考えることはあるの?」
ふと、聞いてしまった。
「そんなの、…」
口が止まった。
私「ごめんね、変なこと聞いて。」
私はずっと生きてるのが偉いっていうエゴを押し付けられすぎてしまっただけなのかもしれない。
聞きたくなかったな。
今日は俺が死ぬ日。
誰に相談しても解決しなかったし、キリが良い日だったから、此処に来た。
ただ、屋上の柵の前居る俺には、ほんの少しの心残りが沢山あった。
「…別れが悲しいなら、最初から出会わなければ良かったな。」
俺の唯一の心残り。
素直にありがとうって伝えれば良かったなって。
後一歩、前に踏み出せば死ねる今、何やってるんだろうって。
生きるのに余裕がある時はこんな事考えもしなかったのに。
カタッ、
風が少し吹いた、柵が動いた。
最後に
「別れがあるから人の世は美しくなるんだよ。」
天使共が俺を嘲笑った。
みんなあいしてます。
皆頑張って生きてきたんだ。