口癖なんかやめなよ。
「あーもう死にたいな。」
今日も口癖でそう言っている私の友達。
私「……やめなよ、笑」
曖昧な言葉で返しているのは分かっている。
私「…私がもし生きて、◯◯が死んだらさ、生き残ってた私の気持ちを考えることはあるの?」
ふと、聞いてしまった。
「そんなの、…」
口が止まった。
私「ごめんね、変なこと聞いて。」
私はずっと生きてるのが偉いっていうエゴを押し付けられすぎてしまっただけなのかもしれない。
聞きたくなかったな。
今日は俺が死ぬ日。
誰に相談しても解決しなかったし、キリが良い日だったから、此処に来た。
ただ、屋上の柵の前居る俺には、ほんの少しの心残りが沢山あった。
「…別れが悲しいなら、最初から出会わなければ良かったな。」
俺の唯一の心残り。
素直にありがとうって伝えれば良かったなって。
後一歩、前に踏み出せば死ねる今、何やってるんだろうって。
生きるのに余裕がある時はこんな事考えもしなかったのに。
カタッ、
風が少し吹いた、柵が動いた。
最後に
「別れがあるから人の世は美しくなるんだよ。」
天使共が俺を嘲笑った。
みんなあいしてます。
皆頑張って生きてきたんだ。
手を握って笑った君は泣いていた。
「これ…、渡したかったの。」
深夜、君に呼び出されて綺麗な海に来た。
普段はあまり見ることが無い白いワンピースを着て君は黒くて綺麗な髪の毛を風に靡かせていた。
白くて細い手の上に、お守りを乗せて俺に見せた。
俺「お守り…?」
「うん、頑張って作ったんだ。」
俺「そっか…ありがとう。」
君は俺に渡す時に手を握ってくれた。
そして、微笑んだんだ。
「男の人は国のために…行っちゃうんだもんね。」
俺「…」
「私…ずっと待ってる、から。」
君は微笑みながらも、泣いていたんだ。
俺は思わず、君の涙を拭いた。
初めて見た姿だった。
俺「…お前が将来、安全な国で暮らせるよう、俺なりに国に尽くしてくるよ。」
「グスッ……その時は私と結婚してね、グスッ」
「私のこと、嫌いだったかもしれないけど、
グスッ、私は貴方のことが好きだからっ!グスッ」
目の前で泣いてばかりの君は俺の気持ちも知らず自分の思いを話した。
しゃっくりのように肩が上がっていた。
俺はそんな君の涙を優しく拭いた。
「グスッ………」
俺「ほら、笑って。」