夢の中でも夢を見たい。
なんて、しょうもない事ばかり考えている僕。
親や先生に
「この先どうしていく気?」
と聞かれても、おかしくは無いだろう。
だって、僕には何も才能が無かったんだから仕方無いよ。
どれぐらい勉強をしたって、成績が上位の子には敵わないし。
どれぐらい自分磨きを頑張ったって、元が良い子には敵うはずもない。
僕の努力不足だって言えるだろう?
だけど、そんなの僕じゃないと分からない事なんだよ?
「努力は必ず報われる。」
なんて言葉を信じ続けていた少年は、今となっちゃ努力すらも信じてない。
君には分かるはずもないんだよ。
元の要素が高い君には。
勉強も、地頭が良いから少し勉強すれば、成績上位に行けるし、顔だって元が良い。
おまけに人思いな君は、クラスでも人気者だね。
「雨が降ってきたから遊びに行かなかっただけさ。」
「今日は体調が悪かったんだよ。」
「元々そんな行きたくなんてなかったんだよ。」
言い訳ばかりする僕とは正反対。
努力?何で君は馬鹿な事を行っているんだい?笑
努力なんてただの偽善だよ。
努力すれば誰もが報われるはずもないのに、君はそうやって当たり前のように言う。
「良い子ちゃんはさっさと帰ってろ。」
「…で、でも…!きっと!貴方を助けられる方法があるはずよ…!!!努力すれば貴方も助かるはずよ…!!」
「努力?方法?笑、そんなのに縋ってたらいつまで経っても大人になれねえぞ?笑、良い子ちゃん。」
お風呂に沈む前に。
静かな部屋に、一人寂しく音が鳴る。
誰かに気付かれている訳でも無いのに、静かな部屋に光が灯っている。
綺麗で、美しい少女は、今にもお風呂に沈みそうだ。
いや、人間では無くて、本当は人形なのかもしれない。
誰にも気付かれずに死にに行く少女。
大きな目が、水面を覗かせている。
目の前には何も無いのに、何かがあるかのように、ジッと、静かに見つめている。
もしかしたら、将来の自分の姿でも見えているのだろうか。
静かに水中の中で呼吸をする。
その呼吸をしている姿さえも美しい。
こんなに美しい少女が、人々に見捨てられるはずもないのに。
いや、人々はもう気付いていたのかもしれない。
だけど、人々は気付いていないふりをする。
当たり前の事だ。
こんな事を知っていたら、人々は、気付かない。いや、気付けないのだ。
何故なら、
「もう死んでいたから。」
-----作者から-----
沢山のハートをありがとうございます。
こうやって様々な方に見られる小説を書くのは初めてで、毎度毎度、書くのを楽しみにしていました。
来年度も、変わらず、自分の好きな小説を書き続けたいと思います。
煙草の火を消してから。
ニュース)「13日の金曜日、〇〇区で、何者かに、当時79歳だった玉村珠世さんが自宅で殺害されている事が発見されました。」
朝から物騒なニュースが流れる。
ベランダに出て、優雅に煙草を吸っている俺とは真反対。
「ふぅ…、朝から物騒だな。」
まともに仕事も行かない社会不適合者な俺は、生きてても何も無い。
だけど、俺はまともになる意味もないと思ってる。
ニュース)「次のニュースです。____」
今日も小学生の子供の楽しそうな声が聞こえてくる。
「あれは良いな…ふっ笑さて"行ってくるか"。」
俺はすぐに煙草の火を消して、とある場所に向かった。
ニュース)「では、次のニュースです。今月の29日、〇〇区の小学校で殺人事件が起こりました。当時4年生の女の子が、意識不明の重体となっております。警察は、捜査を続けるという事です。」
幼馴染という呪い。
「…」
私の隣でタバコを吸っている幼馴染はカッコいい。
私達は何年ものの仲で、幼馴染だ。
保育園の頃ぐらいからで、今はお互い大人だ。
普通に仕事だって、一人暮らしだってしているような歳。
なのに、恋人は1人も作らない。
今日は私の家で、幼馴染とお泊まり(?)に近い事をした。
最初は普通に宅呑みって感じだったけど、どんどん時間が進んでいくにつれて、ぎこちないような雰囲気が流れた。
「何で恋人の1人も作らへんの?笑」
「それはお前もやろ。」
ベランダで私の横でタバコを吸っている幼馴染と、夜空に流れる星空を眺めている私。
私はそんな幼馴染に、密かに片思いをしている。
だけど"幼馴染"という言葉の呪いから、
「これ以上の関係になりたくない。」
と思ってしまうのだ。
もし、これ以上の関係になって、関係が悪くなってしまったらと考えてしまうと、前に進めない。
「こりゃ…私は、一生片思いやな。」
私が思わず、ボソッと言葉を呟いてしまった。
聞こえるはずの幼馴染は、声どころか顔の表情さえも変えずに、タバコを吸っている。
「俺も。」
ベランダから出ようとした幼馴染は、私に聞こえるか聞こえないか、微妙な声でそう呟いた。
貴方と私の記念日。
夕暮れ時の、湖が光っている橋。
ここは何て綺麗な場所なのだろうか。
目の前には、沈む太陽に照らされて、光り輝いている湖。
そして、横には私の愛する人が居る。
「私の事、好きですか。」
私が貴方にそう言うと、貴方は頬を少し赤らめた。
「何を今更言うんですか。はい、大好きです。」
貴方は私の目も合わせずにそういった。
今日は私達が付き合って、半年を迎えた。
そう、記念日だ。
「私ね、貴方の事が大好きなの。」
私がまた貴方にそう言うと、貴方は微笑んで、私の頭を優しく撫でてくれた。
「はい、分かってますよ。俺も大好きです。」
私達が付き合って、初めての時もこういう会話をし続けた。
「私ね…私、貴方の事を…愛しているの…」
私は自然と涙がポロポロと落ちてくる。
それでも貴方は、私の涙を拭ってくれた。
「分かってます。分かってますよ。だから…
死なないで。」
「えっ…」
今日は愛する人との記念日。
そして、今日は愛する人の命日。