たなか。

Open App
1/16/2026, 3:22:05 PM

【美しい】

綺麗なものには刺がある。鏡を見てはそんな言葉を思い出して下を向く。寒すぎる朝に冷たい水で顔を洗ってそれなりに顔を彩る。私は可愛いの。綺麗なの。美しいの。作った可愛いだとしても私が可愛ければそれでいい。それ以外には何も残らない。この鏡に映る顔以外何も、残らない。
「行ってきます。」
不機嫌な自分は可愛くない。どうにか声を絞り出して1人の部屋に向けて告げる。外の空気もひんやりとしてる。いくら綺麗だからと言って、人からの視線が集まるわけではない。ナンパをされるわけでもない。ただ、なんとなく。今日は違うことが起きる気がする。まぁ、きっとそんなわけないか。
「肩を落としてどうしたんですか、美人が台無しですよ。」
誰がが誰かに向けたキザなセリフ。そんなこと言われる人もいるんだな。小さい頃、言われたなこんなキザなセリフ。可愛い顔が泣いちゃってるって子どもながらに可愛い表現。
「無視しないでくださいよ。この声忘れたんですか?」
なんか、私以外いなそうな朝の寒い道。なんとなく、振り向くか。いや、やっぱり見たことない顔だよ。覚えてもない。違うことが起きるなんてあるわけもない話か。私が美しいばかりにきっと狂わされて存在しない記憶を頼りに声をかけてしまったんだな。

4/20/2025, 11:33:12 PM

【星明かり】
明るいと信じていた。暗闇なんてない、怖いものからは全部守ってもらえるんだと。うざったらしいほどに煩かった街は望みでも叶ったというように静かで。それはそれで落ち着かなくて。居てくれたはずなのにいなくて。暖かい何かはもうなくて。優しい人もいなくて。これが本当の独りぼっち。私が我儘だったからかな。嫌なこといっぱい言っちゃったのかな、とか。遅れて後悔をしてももう何も戻らない。周りに何も無い世界で私を無情に照らすのは全部見てたはずなのに知らないフリの星明かり。

12/23/2024, 10:26:11 PM

【プレゼント】

プレゼントを開けたらきっと、その時点で知られてしまう。だから、その手を遮ったの。きみなら分かってくれるよね。
ひたりと冷たさを当てると無駄に冷静になる。赤黒く咲く薔薇は強さの証拠。

「きみが悪いわけじゃないよね」

明日はきみの誕生日。大好きなきみの誕生日。きみが嫌いな誕生日。朝も夜も静かさは変わらないし、誕生日だって他の日と変わらない。違いがあるならプレゼントが貰えて、おめでとうがあるくらい。ちょっと贅沢にケーキを食べる日だって日常にあるし、パーティーだってなんでもない日にしてもいい。

だから、きみへのプレゼントは特別にしたいんだ。優しいきみだから喜んでくれると思う。

「いっぱい考えたんだよ、だからね。だからね。きみが悪いわけじゃないよね......?」

きみはいっぱいいっぱい泣いていた。

2/7/2024, 10:12:14 AM

【どこにも書けないこと】

どこにも書けないことをもしもこの日記に記すなら。
そんなタイトルを見かけて私は手に取った。始めはただの、在り来りな物語。そんなことを思ってしまった。読み進めていけばありとあらゆる手で私を困惑させて、誰かの人生について頭をフル回転させ小さい脳みそのキャパシティを全感受性を刺激してくる。もうだめだ、読めない。なんて、そんなことを思うことだってあった。それでも、本を読み慣れない私が。普段日記を書こうとも思わない私が。読み終えて何かに侵されたように日記を書こうとしているんだ。一人の人生があんな風にドラマみたいに描けるなら。私が物語の主人公になれるなら。そう思うならどこにも書けないことを書く勇気はあるか。見る覚悟は出来ているか。

きっと、私にはまだないんだ。だって、このページが半分も行かないうちに書くのを辞めてしまう。まだ、勇気が足りないのならそれは残念、無念、また今度。ここいらで、今日の私のページは終わり。明日は明日の私がきっと書くでしょう。

9/2/2023, 10:23:29 AM

【心の灯火】

心の灯火が消える前に。そう思って、この文章を書き始めた。この文章を読んでいる人は僕と違う世界の人かもしれない。それとも、僕と同じ世界の人かな。いや、そんなことはどうでも良くて。
「もうすぐいなくなるんだもんな。」
そう、この先決して長くはありません。そんな僕が急に思い立った訳。それは、好きな人がいるからです。いずれ会えなくなるのならば、と。手紙は恥ずかしかったので誰に宛てるわけでもない。そんな文章を綴ろうと思いました。単刀直入に言わせてください。惚気になるしそうでないかもしれない。
「大好きだ。」
愛していた、そんなふうに思ったんです。初めて会った時はなんか、人に気ばっか遣って自分のことおかまいなしのお人好しで身を滅ぼす馬鹿なヤツそんなふうに思ってました。
「我ながら、酷いなこれ。」
今も思い出しては笑いが込み上げてくるほどだ。そんな僕だって周りの目ばかり気にしていたのに。一緒にいる時間が長くなってくるにつれてこの人のこういうところ素敵だなって部分が増えたんです。一部を抜粋していくと笑顔が可愛い、歌が上手い、誰かに寄り添える、一緒にいる人と最高に楽しめる、話が面白い、とか。とにかく、素敵な人なんです。僕がいなくなってしまう前に。誰かに伝えてみたかった。なんでそれを想い人に伝えないかってのはやっぱり恥ずかしさが勝ってしまうんですよね。
「僕なんて、柄でもない。」
あえて、丁寧な口調で書いていますが書いてる時に何度も手は震えるし普段こんな口調は使わないから違和感ばかり。字ってちゃんと書こうとするとこんなに震えるんだな、って字を書く人たちを尊敬するレベルだ。元から字が汚い、なんて僕の話は置いておいて。この文章を読んでいる人も今大切にしたい人や好きな人がいるのなら真っ当に突っ走ってください。僕はそれが出来なかった。それで、今たくさんたくさん後悔して結局天罰だ。だから、伝えて言えないままにならないで。
「紙、滲まないようにしなきゃな。」
これを読んだ人と僕だけの秘密。僕はあの人が好きで大切でちゃんと愛してあげたかった。言えない僕の後悔を他の誰かが知る必要は無い、だからちゃんと好きになって。
「お邪魔しまーす!」
「あれ、もうそんな時間?」
俺はそっと文章を閉まって家の鍵を閉めた。

Next