【書く練習】
[君と僕の散歩道:5水遊び]
猛暑から逃れるために近所の川にきた
君は川が大好きだ
シャンプーは大嫌いなのに不思議だ
君はザブンザブンと飛沫をあげて川へ入っていく
中頃まで行くと、犬かきでスイスイと泳いでいく
とても気持ち良さそうでこちらが羨ましくなるほどだ
そんな君を川岸から見ると僕も涼しい気持ちになる
岸から上がって来た君は2回りくらい小柄になっていた
すっかり別犬だ、笑いたいのを必死でこらえる
そろそろ帰ろうか
濡れた体を拭くためにタオルを取って振り返ったとたん…
君は盛大にドリルを放った
僕は目を閉じ暫し固まる
大きく深呼吸をして心を静めた
君はそんなことは知らんと言いたげな顔をしている
ふん、そんな顔をしていられるのも今のうちだ
家に帰ったらシャンプーがまってるのだから
隅から隅までしっかり洗ってやるからなっ
【書く練習】
[君と僕の散歩道:4永遠の謎]
季節の変わり目になると毎日のブラッシングが欠かせなくなる
これでもかと言うほど抜けた毛はこちらが心配になるほどだ
しかしながら、おかしなことに
翌日になると、同じだけの毛が抜ける
この謎現象は年に2回あるわけだが
未だに謎は解明されなかった
この毛をなにかに利用できないかと考えた
等身大の君を作れないだろうか
君は何て言うかな?
バカな飼い主だと鼻で笑うかな
ふん、笑うが良い
僕は夢のために今日もせっせとブラッシングに精を出す
数年後、僕の夢は実を結び、無惨に喰い散らかされる
それはまた別の話
【書く練習】
[君と僕の散歩道:3散歩について]
散歩は朝夕の2回
君は散歩が大好きだ
雨だろうが強風だろうが雪だろうが毎日行く
初めての散歩に君は驚きっぱなしであちこち匂いを嗅いだり
興味があるほうへ、あっちにふらふら、こっちにふらふら…
今ではまっすぐ前をみて、何かを目指すかのような鋭い眼差しで風を切って進む
だけど、急に、本当に何の前触れもなく君は動かなくなった
リードを引いてもテコでも動かない
ほめたり拗ねたり怒ったり何をいっても動かない
こんな時は諦めてひたすら待つ
君が動くまでいつまででも待つよ
その間は僕の話を聞いてよ
君の好きなところいっぱい話すから
しばらくすると、君は僕の話に飽きたのか、ぐーっと伸びをして体をぶるんと震わせた
そして、何事もなかったかのように歩き出した
そして、遅いぞと言わんばかりに振り返る
僕は口を開けて何か言おうとしたが、口がパクパクとするだけで何も言えなかった
仕方なく立ち上がり、黙って君の後を追った
【書く練習】
[君と僕の散歩道:2初めてのごはん]
おすわり、おて、おかわり、まて……よしっ
君は勢いよくボウルに顔を突っ込んだ
夢中でフードを頬張る
前足がボウルに入ってることにも気づかない
やがて満腹になると、君はうとうとしてすぐに眠ってしまった
あお向けになったお腹はパンパンで、寝息に合わせ上下に動く
ああ、かわいい
叫びたいのを我慢して、そっとスマホのシャッターを押す
突然の連写音が響いてあわててスマホを隠す
君はピクリと動いたが、眠気には勝てずまた夢の中
フォルダの中は君のヘソ天や寝顔でいっぱいになった
君はまてが苦手のようだ
おやつを前にすると小刻みに体を揺らして少しずつ近寄ってくる
口からはよだれが垂れてしまう
そんな姿もかわいくてしかたがない
待たせてごめんね、沢山たべていいよ
たくさん食べて大きくなってね
目が覚めたら散歩に行こう
【書く練習】
[君と僕の散歩道:1出会い]
初めて君と目があったのはガラス越しだった
口の端を思いきり上げてとびきりの笑顔を見せた
その瞬間僕は恋におちた
どちらかといえば物事には慎重で、衝動的に何かを決めることはない
けど、この時は運命だと思ってしまった
赤茶色の毛
真っ黒な目
ぴんと立った耳
くるりと丸まった尻尾
全てが愛おしい
これから君との生活を考えると心が踊り出しそうだ
これからいろんな所に行こう
いろんなものを見よう
美味しいものも食べよう
散歩も毎日行こう
君と僕の始まりの道