学校の廊下。変哲のない廊下でも、貴方がいるだけでまるで特別な所になるような気がする。
「何してるんですか…?」
恐る恐る声を掛けてみる。すると貴方は、少し微笑んだ。
「偶然ですね。ただ、ぼーっとしてただけですよ。」
その微笑みと回答に何故だか涙が出そうになる。けど私は
知っている。
私が惚れた貴方は、"誰に対しても同じ態度"だということを。
分かっている。貴方に悪気はなくて、もし貴方に"友達"という感情を持っていたならば、最高の友達かもしれない。でも、
その感情が"好き"の感情だった場合、貴方の大好きな所が貴方の嫌な所になってしまう。
こんな自分が気持ち悪くなって来てしまった。自分でも自分のことが、よくわからなくなってきている。もし誰かに彼のどんな所が好きなの?と言われた時、私は上手く答えられる自信が無い。それは、貴方の好きな所が貴方の嫌な所だから。
好きと嫌いが矛盾している。そんな事を思いながら私は貴方に返答する。
「そうなんですか。あの、一個質問してみても良いですか?」
彼は微笑む。
「良いですよ。珍しいですね。貴方から質問するの。」
そんな顔しないでよ…胸が締め付けられる。
「"心の境界線"ってあると思いますか?」
これは、前々から思っていた事だ。貴方が誰にでも同じ態度
なのは"心の境界線"ではないかって。貴方も境界線を引いていてそんなことを思う私も、貴方に境界線を引いている。迷惑かもしれないから、私の感情が貴方にとって。
「境界線…難しいですね。でも、僕は、こう思いますよ。
その2人の関係が、境界線の幅を決めるんじゃないかって。」
貴方らしい回答だった。境界線の幅ね…
「じゃあ、いつか私は貴方の境界線を超えれるのかな…」
ほんとに小さな声で言った。私なりの弱音だった。
ふとあなたの顔を見た。
まるで嬉しいような悲しいような笑みを浮かべていたのは
きっと窓から降り注ぐ、太陽の光のせいだろう___
テーマ 心の境界線
学校からの帰り道。花に羽が透明な蝶が乗っていることに
気付いた。
「わぁ」
思わず声を出してしまう。それぐらい綺麗だったんだ。ふと、貴方を思い出す。誰よりも透き通ってて美しい。
貴方の心は、透明で透き通っている。でも、透明だけど貴方だけの色があると思う。誰とも被らない貴方だけの色。
貴方の心の色が蝶の羽の色のように見える。
私はそんな、彼の心に惹かれたのかもしれない。
ん?あぁ「なんで彼の心の色が分かるの」だって?それは彼が
"自由"な心の持ち主だから。いつも、誰にも縛られないという貴方の欲は"透明"だと私は思う。自由だからこそ、どんな色にでも染められる。その蝶も、彼も似たもの同士。思わず、口が緩んでしまう。
「ねぇねぇ、蝶々さん。彼の心ってすごいの!まるで、蝶々
さんの羽みたいに。その綺麗さに私は惚れちゃったんだ。」
返事なんて貰えないのに、私は蝶に喋りかけた。きっと、
どんな人にも貴方を自慢したいんだと思う。
「蝶々さん。彼の所まで飛んでってよ。」
冗談で言ってみた。すると、蝶は私の言った通りに飛んで
いった。まさかね、と期待はしていない。けど、少しぐらいは願っておこう。もしかしたらね、と。
「ん?」
僕の肩に、一匹の蝶が乗った。
その喋はまるで、彼女みたいだった___
テーマ 透明な羽根
私と貴方の目に、1つの光が映る。
貴方にはどう見えているんだろう。そう思い、貴方の方を
チラッと見た。貴方の目に移る、光。そして、ただただ貴方の横顔に胸が高鳴った自分がいた。
その光は、少しの風だけでゆらゆら揺れる。弱くなったり、強くなったり。
「綺麗…」
不意に出た言葉だった。それでも貴方は何も言わない。ただただ、光を見つめていた。その横顔に思わずまた、綺麗…と言いそうになってしまった。危ない…と心の中の自分が言う。
パチパチと音が鳴る。けどそれをかき消すぐらい、自分の心臓の音がうるさかった。貴方に聞こえていたらどうしよう、そう思うと余計に心拍数が上がってしまう。
貴方はどう思っているんだろう。この光みたいにゆらゆら揺れ動いているんだろか。答えは貴方自身にしか分からない。
しばらくした後、貴方が口を開く。
「知っていますか?灯火って希望を象徴する光でもあるんですよ。」
物知りな貴方は私の知らなかった知識を教えてくれる。そして、私が今までに感じたことの無い感情も教えてくれる。
「希望…なら私たちは希望を見てるんですね。」
もしこれが希望だったら__ふとそんなことを考える。
貴方が少し笑った。そして続けてこう言う
「貴方のそういう考え方、好きですよ。」
貴方の目に私が映った。好きですよ。という言葉は私の知識がという意味なのに勝手に都合の良い方に解釈してしまっている自分がいる。ドッドッドッド。また心拍数が上がっている。
また私は、貴方の方を見る。
貴方の横顔を見ると、この光と同じように
私たちにも希望があると感じてしまうのはきっと貴方が
そんな事を言うからだろう__
テーマ 灯火を囲んで
もうすぐ寒い冬が来る。
私は、そっと1枚の落ち葉をとる。
少し冷たくて濡れている。
私はそっと空を見た。空は少し冷たくて冬が来たって思わせられる空だ。
たまたま見かけたあの人の姿。マフラーをしていて、冬なのに胸が暖かくなる。そして、あの人自身が空とは真逆で暖かい。
あの人もそっと空を見る。あの人の目に、空はどんな風に写っているのだろう。でもその空はきっと、貴方だけにしか見えない空。
空って面白い。空はひとつしかないのに、その人によって"空"が違う。雲だって違う。
ふとそんな事を思いながら、私は家に帰る。
冬の服、モーフ。沢山のものを冬にする。私は冬が好きだ。でもちょっと嫌いだ。だって、冬って"可愛くする"のが難しい。寒くて着込みすぎると可愛くない。けど、薄くても寒い。
でも、貴方はどれだけ着込んでても薄くても、貴方だけは
かっこいい__ だからこそ"好き"の気持ちって偉大だと思う。
冬は新しい事が沢山ある。だって、新年を迎えるんだもの。
新しく始まる私の年。
あの人とも新しいことがあるのかな___
テーマ 冬支度