一人ポツリと、海の縁に佇む。
あの子が消えて、ちょうど一年
今までずっと我慢してきたけれど、心の中は埋まる事がなくて
もう、我慢の限界で。
...あぁ、待っててね
私も、直ぐに"そちら"に逝くから
---二作目---
少し前まで、一人でいることに何の苦も感じることなんてなかった。
寧ろ、一人でいる方が気楽で、居心地が良かった。...はずなのに。
今は、一人でいる事がこんなにも辛い。
あるハズのピースが、一つだけ欠けているような、そんな気持ちになるのだ。
そうなってしまうと、もう玲夜の事で頭がいっぱいになって
「玲夜に会いたい」「今どうしてるのかな」「他の人と話してるのかな」
「俺と話して欲しい」「お茶したい」「傍にいて欲しい」
...そんな欲求に埋め尽くされてしまう。
こんな、独占欲にも近い気持ち、迷惑になると分かっているのに。
こんなどうしようもない俺を、あいつは許してくれるだろうか...
...あぁ、玲夜に会いたいなぁ...
#寂しさ
154作目
「......」
「...藍登、どうしたんだ?珍しく抱きついて来て...」
「...わ、わりぃかよ...抱きついちゃ...」
「フッ、そんな事はねぇよ。寧ろお前から来てくれて嬉しい」
「...玲夜こそ...珍しく言うじゃねぇか///」
「お前が素直になってくれたからな。俺も言葉に出した方がいいと思っただけだ」
「//////」
「真っ赤だな、可愛いぞ」
「うるせぇ...///」
「ふはッ」
寒い所が苦手な君と、一緒にこたつに入りたいな。
気まぐれさんだから、難しいかも知れないけれど
折角なら、膝の上に乗って欲しいかも。
膝に乗った時に体を撫でてあげると、嬉しそうに目を細める姿がすっごく可愛らしいから
また見たいと思うんだよね。
よし!そうと決まれば、...まずはこたつを出すところから始めようか...
---二作目---
少しだけくっついて、一緒にぬくぬく暖まりたい。
いつもは照れ臭くて自分からは出来ないハグも、思い切ってやってみようかな。
そうやって、寒い冬の一時を、幸せで満たしたいと思うのだ。
#冬は一緒に
153作目
何となく、雑談をするだけの時間。
色んな話がそこらじゅうを飛び交って
各々が好きなように、好きなことを喋る。
そんな何気ない、混沌とした時間が
意外と楽しいと思っていたりするのだ。
---二作目---
なんの突拍子も、オチすらも無い、どうでもいい話。
人の顔色を伺ったり、合わせたりすることが多い藍登にしては珍しいこの行動は
決まって俺にかまって欲しい時の行動だと、最近になって気づいた。
「それで、三丁目にあるパン屋さんのメロンパンが美味いらしいんだよ」
こんな風に、今日も持ち前の情報収集力で手に入れたであろう情報をペラペラと話している。
「そうなのか、なら今度の休みにでも行ってみるか?」
それに俺が、こうして時折返事を返す。
最初は不思議だったこの行動も、理由が分かってしまえば、なんと言うのだろう...こう言葉では言い表せない
満たされた気持ちになるのだから、全く不思議である。
「あぁ...と言うか玲夜、何でさっきから俺の頭撫でてるんだよ...」
「...嫌だったか?」
「いや...じゃねぇけど...」
「ならいいだろ。大人しく撫でられておけ」
「...///」
幸せに満ちた、凄く幸せな一時がまた俺の日常のピースとしてはめ込まれていく。
さて、次の休みが楽しみだな。
そう思いながら、少し顔を赤らめてしまった藍登の頭を引き続き撫でる玲夜であった。
#とりとめのない話
152作目
病気になった。
症状としては...胸の痛みと、あと顔が熱くなる。
それも、貴方を見ると、段々痛みと熱さが強くなっていくの。
...この病気の治し方は、どこにありますか?
---二作目---
風邪をひいた。
しかも結構重めのやつを。
でも、俺の心は嫌な気持ちで満たされている訳では無い。
「はぁ...全く世話が掛かるな...あ、ゼリー持ってきたんだが食べるか?」
「......食べる...」
「お、何時もより素直だな。ほら、食べさせてやるから口開けろ」
「...ん、」
...こうやって、何やかんや言いつつも、玲夜が看病してくれるのが嬉しいから。
あぁ、愛されてるな...と感じるのだ。
身体の辛さとは違反して、心の中は凄く幸せな気持ちになる。
たまには風になるのも悪くはねぇな、と思ってしまう。
あいつが聞いたら「風邪引いて訳あるか」と呆れ顔で言われてしまうので、絶対に口には出さないが。
#風邪
151作目
真っ白な景色を、久しぶりに見てみたい
それで、その後は
子供みたいに、大きな大きな雪だるまを作ろうか
---二作目---
ふわりふわりと、雪が舞い散る様子を見るのが、俺は好きだった。
...寒すぎて外に出る気にはなれなかったけれど。
...でも、今は少しだけ雪降る時間に外に出たいなと思えるようになった。
あいつが、俺の手を引きながら、珍しくはしゃいでいる姿を見るのが、この上なく愛おしいと思うから。
だから今年は、雪が沢山降ってくくれればいい。
そう思うのだ。
#雪を待つ
150作目