霧夜

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12/9/2023, 11:18:54 AM

もう、決して離す事が無いように。

震える君の手を、そっと優しく握るの。

---二作目---

ただ、何となく外に出て。

何となく、枯葉の落ちる道を歩いて。

何となく、間に静けさが宿って。

...何となく、どちらともなく、手を取り合って。

そんな小さな事で、顔が熱くなって。

思わず首に巻いていたマフラーで、顔を隠してしまう。

そんな俺の姿に、あいつは少しだけ笑ってて。

少しだけ不服な気持ちになる。

...二人の手は、優しく握られたままだった。


#手を繋いで
144作目

12/8/2023, 11:02:12 AM

たった一言。

そのたった一言を、伝えられなくて。

今日も言えなかった感謝と後悔が、喉の奥に突っかかってるの。

---二作目---

お前にそんなつもりはなかっだろうに。
ただ、お前の底無しの優しさが、俺にも降り掛かっていただけだと言うのに。
こんなに醜い劣情を抱いて。

...こんな俺じゃあ、お前の傍に居られない。...だから俺はお前の元から消えようと思う。
...だから、どうかどうか幸せになってくれ。
どうかどうか、穏やかな日常を過ごしてくれな。

...嗚呼。最後に、一つだけ。

俺なんかに、暖かくて優しい愛情をくれて、ありがとう。
今まで俺の事を「相棒」と言いながら慕ってくれて、ありがとう。

...勝手にお前のことを好きになって、ごめんな。


#ありがとう、ごめんね
143作目

12/7/2023, 10:57:49 AM

今はただ、ここで雨を降らしてしまう事を許して欲しい。

誰にも悟られないように、隅っこでやるからさ。

...だから、今だけは。

私の顔を濡らす、冷たい雨を流させて。

---二作目---

部屋の片隅で、じっと蹲っていた。
...弱い俺は、太陽の下には出られないから。
隅っこに居ないと、周りの存在感に押し潰されてしまいそうになるから。

「お前、大丈夫か?」

...それでも、こんなはなんの取り柄もない、端っこに居るだけの俺の事すら。
優しいお前は見つけてくれるから。
こいつが真ん中に居る時の話を、沢山話してくれるから。

...少しだけ、君がいる場所に、行ってみたいと思ったんだ。
無理かもしれないけれど、お前が居たら、俺も太陽の元に出れるかな。




#部屋の片隅で
142柵目

12/6/2023, 10:34:49 AM

「好きして欲しいな」

...さてさて。

君にこの言葉の意味が、理解できるかな?

---二作目---

...全部、全部。
本当の気持ちを、裏返して。

「死にたい」を「生きたい」に。

「辛い」を「幸せ」に。

「苦しい」を「楽しい」に。

「大丈夫じゃない」を「大丈夫」に。

ただでさえ弱い俺は、弱音を吐いちゃいけないから。
本音を言っちゃいけないから。
自分の心を偽るようにひっくり返して。

それで毎日毎日、笑顔で笑うんだ。

...ね?だからさ。俺はお前の事。

「好きじゃないよ」

#逆さま
141作目

12/5/2023, 10:34:42 AM

目を瞑ってしまえば、朝が来る。

そんな当たり前の事が、只々怖い。

だから今日も、枕を濡らして朝日を待つの

---二作目---

夢に焦がれる夜がある。
ただ虚しいだけの、幻想に溺れていたい夜がある。

朝が来れば、現実を見なくてはならなくなるから。
この、静かで、誰もが夢へと堕ちている、この時間に。
まるで子供がイタズラを隠す様に、こっそりと。

...あいつに愛される、幸せな幻想を描く。

伝える気も、叶える気も無い。

ただ、この時間さえあればいい。
それだけで、俺は十分だから。

冷たい布団にくるまって...枕が濡れるのは、多分寒さのせいだ。
きっとそうなんだ。

...嗚呼、今日も眠れないな。


#眠れないほど
140作目

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