野鳥にとって
空は「脈動」
地上は「手触り」
僕にとって
空は「投影」
地上は「現」
空は、内に棲むが遠くにある
触れられるのに遠く
近いほど届かない
題 遠くの空へ
どうせ、そうなるってわかってないくせに。
話したくないのに。
聞く気もないのに、
「どうしたの?」なんて聞いてくるの?
もうすぐ私、中学生だよ。
子どもでも、大人でもないのに。
いつ帰ったら迷惑にならないか、考えてる。
ここにいていい時間を、ずっと測ってる。
合ってるかどうかもわからないまま。
どうしたらいいのか、
考える場所もないまま、
ずっと考えてる。
受け取る気もないのに、
優しいふりして、
どうしたの?なんて、聞かないで。
題 言葉にできない
ふと、肩の力が抜けていることに気がついて外へ出ると、日向の中で猫が伸びをしている。
温かなそよ風が肌に触れて、心がほぐれる。
足を伸ばせば、桜の花びらが四方から舞い、
視界ごと包まれる。
その出どころを探していると、蝶がよぎり、
その軌道を目で追う。
やがて光の中へ消えてゆき、目を細めた。
甘やかな空気を吸い込めば、野の花が一面に咲いている。
――すでに春の中にいた。
私は、団子より花だ。
題 春爛漫
結婚して十八年。
その前を含めれば、二十年以上になる。
そうすると、
誰よりも、という言葉が
後から追いついてくる。
比べたことはないのに、
結果だけが、そこにある。
人生の半分以上を、
同じ隣で過ごしている。
夫婦というのは、
互いに翻訳し続ける関係だ。
相手は最初から“そのままでは読めない存在”。
時間をかけて意味をすり合わせ続ける。
完全一致はしない前提のまま。
正確には読めないままで、
それでも意味を重ねていく。
題 誰よりも、ずっと
成人した子の親になるとさ。
誰もがずっと誰かの子供で
誰もが誰かにとっては未熟者なんだと気づく。
劣るのではなく
ただ、守られ
見守られるべき存在としてある。
時間は進むけれど
その眼差しは変わらず。
重なり合った日々と今の姿の間で
そっと手を置く。
見つめる者も完璧ではないけれど
離れたところから
引き寄せずに、ずっと。
私は、この世を越えても、
息を整え、ただ在り続ける。
題 これからも、ずっと